この記事では、アニメーション制作をする上で、事前に理解しておくべきことを解説しています。
市場理解
「動画制作市場」はどれくらい稼げる市場なのか?これがアニメーション動画制作の仕事をする上で最初に理解すべきことです。
「その人がどれくらい稼げるのか?」はその人の能力以上に「その人が参加する市場の大きさ」「市場で形成されている相場」などの影響が大きいです。
初心者が1本数千円稼げる市場:下限で数千円
結論から言うと「アニメーション動画制作」は「初心者でも非常に稼ぎやすい市場」と言えます。※2021年1月現在の話であり、今後、参入者が増えるにつれて「指示があれば動画制作ができるだけの人」はどんどん稼げなくなると推測されます。
アニメーション動画制作は1ヶ月もあれば操作感を覚えることができ、クラウドソーシングサイトの案件をこなすことができるようになります。相場は10分動画で1本5,000〜12,000円程度ですが、他のスキルと比べてもかなり稼ぎやすい部類です。
アニメーション動画制作に近い動画編集も、始めて1ヶ月程度(カットやテロップ入れができる程度)の初心者で1本数千円の仕事を見つけ、稼ぐことができます。
初心者が始めて1ヶ月程度で1本数千円稼げるのは、正直かなり稼ぎやすい市場と言えます。他のスキルだと、そもそも下積みに半年〜1年くらいかかります。
他の市場、例えばライティングでしたら、初心者はまずスキル獲得のための勉強をする必要があります。(その期間は最低でも数ヶ月かかり、求められるスキルも高めです。)そして、勉強をした上でやっと1文字0.1〜2円で仕事を受けることになります。例えば2000字の記事を書く案件の場合、1記事200円〜4,000円という相場感です。
求められるスキルに対する稼げる下限金額の高さは非常に魅力的です。
制作会社が1本数十万〜数百万を稼ぐ市場:上限で数百万
結論から言うと「アニメーション動画制作」は「1本数十万の高単価な価格帯が現実的に狙える市場」と言えます。
しっかりアニメーション動画が作れるようになれば、アニメーション制作の部分を担当するだけで、2分動画で1本20,000〜35,000円を稼ぐこともできます。シナリオライティングなど他のスキルと掛け合わせて、全てを自分1人で担当すれば1本200,000〜500,000円程度までの高単価を狙うこともできます。
撮影やCGなど、他の動画系スキルと掛け合わせていけば、1本数百万でも成立する市場です。実際に大企業の動画制作案件は1本数百万レベルの予算で制作されています。
アニメーション動画制作のビジネスとしての魅力は、まさにこの「高単価でも全然おかしくないという相場感」にあります。
余談ですがライティング市場ですと、トップライターで1文字15円〜20円程度で、2000字の記事を書いて1記事30,000〜40,000円です。上限は圧倒的に動画制作が有利と言えます。
おまけに動画制作市場は拡大傾向にあるので、まさに今始めるのに打ってつけと判断できます。
補足:ライティングについて
なお、ここまで「ライティングは稼げない風の説明」をしてきました。ですが「ライティングはやるだけ無駄なのか?」というとそんなことはありません。確かに「ライティングスキルを身につけて、記事制作などの案件をやるだけではあまり稼げない」ですが、一方でライティングは極めるべき最強スキルの1つです。
ライティングそれ自体というより、ライティングを勉強する上で身に付く様々なスキル、読解力や論理的思考力、批判的思考力、コピーライティング、セールスライティングなどがどんなビジネスをする上でも最高に使えます。「それはなぜか?」というと「動画を必要としないビジネス」はあっても「言葉を使わないビジネスはない」からです。私がアニメーション動画制作事業で稼げているのは、間違いなく、今まで積み上げてきた「ライティング」の素地があったからです。ライティングは瞬発的に稼ぐ力がないだけで、長期的に結果を出したい人のための基本スキルと言えます。
初心者がすぐ稼ぎたいなら「動画関連スキル」がオススメですが、もし「長期的に稼げる人材」になりたいなら、ライティングは「基本スキル」として確実に身につけておきましょう。
ライティングスキルは一生自分を助けてくれるので、これから稼ぎたい人の必須科目と言えます。
ライティングに関する教材はまだ制作しておりませんので、ご了承ください。
ビジネスモデル理解
「アニメーション制作」の報酬はどういった経緯で生まれるのか?ビジネスモデルを理解する。これがアニメーション動画制作の仕事を始める前に理解すべきことです。
「最大でいくら稼げる見込みがあるのか?」を知るために「どういった仕組みで自分の利益が出ているか?」を知るようにしましょう。
企業案件のビジネスモデル
結論から言うと「企業案件」は「求められる動画の完成度は高いですが、その分1本あたりの報酬も数万から数十万程度いただける案件」と言うことができます。
まず、私の実例を元に、企業案件の登場人物を紹介します。
<企業案件の登場人物>
- クライアント(企業)
- ディレクター(クレメア)
- ナレーター(機械音声の場合は不要)
- アニメーション制作者(H氏)
クライアントは動画制作を依頼する人のことです。クライアントは「利益の増加」もしくは「費用の削減(最終的には利益の増加につながる)」を目的とし、動画制作者である私たちに動画制作の依頼をします。
企業案件の特徴は「動画制作にかける予算に余裕がある点」が挙げられます。例えば1つ成約すると利益が300万円獲得できる商品があるとします。その場合、仮に動画制作費に100万円かかったとしても、商品が1つ売れれば200万円のプラスになります。企業案件はこのような規模感であるからこそ、1本数十万の高単価で仕事がいただけるということです。
お金がない企業は予算重視ですが、資金力のある企業はクオリティ重視です。だからこそ高単価の案件を獲得したいのであれば「動画の質」が大切になってきます。
クレメアさんから「企業案件はクオリティ重視なので細部までこだわるように」と指示があったので「リッチ感を出すこと」を意識してアニメーションを作成しました。
企業案件の業務割り振り
ここで、動画制作チームの仕事の割り振りについて。実際に私が企業案件の仕事をする際の業務の割り振りは以下のようになっています。
<アニメーション動画制作の業務割り振り>
人員(2名)
- ディレクター(クレメア)
- アニメーション制作者(H氏)
仕事内容
- 営業
- ヒアリング
- 企画
- 構成
- 台本制作
- アニメーション制作
- ナレーション収録(ナレーターに依頼)
- アニメーション調整
- 納品
実際は「営業」「ヒアリング」を「営業マンに委託する場合」がありますが、基本は上記のような座組みで運営しています。
この教材は「アニメーション制作」に関する教材なので、それ以外の部分については触り程度の解説に留めておきます。
ディレクターである私は、クライアントからの問い合わせに対応し、動画制作可否を判断した上でヒアリング。動画制作に必要な情報を整理し、台本制作をした上で、アニメーション制作者に台本を共有します。
具体的には以下の状態まで、台本を制作して持ってきますので、このような台本をもとにアニメーション制作をするのがアニメーション制作者の仕事になります。
この台本には「シナリオ」だけでなくアニメーションを制作するにあたっての「要件(ターゲットやカラーなど)」が書いてあるので、アニメーションのイメージを膨らます際に参考にしています。
この台本は企業案件で実際に制作した動画の台本になります。ぜひ一度読んでみてください。(教材使用の許諾は頂いています)
具体例:リデル株式会社様
ここでは実際にリデル株式会社様の動画を制作したときの流れを紹介しておきます。
アニメーション制作に関する細かい話は「実践編」の方で解説させていただきます。
まず、リデル株式会社様の案件に関しては、ザックリと以下のようなスケジュールで進行しました。
企業案件スケジュール事例
- 10月12日(月):担当者様からお問い合わせ
- 11月4日(水):初回ヒアリング
- ー 初稿動画制作 ー
- 11月6日(金):初稿共有
- 11月10日(火):修正事項確認MTG
- ー 修正 ー
- 11月12日(木):第2稿共有
- 11月20日(金):台本確定
- ー ナレーション収録・アニメーション調整 ー
- 11月24日(火):プロナレーション動画共有
- 12月12日(土):納品
11月4日(水)のヒアリングでは11月20日(金)に「機械音声で制作した動画」を納品予定でしたが「プロナレーターへの依頼に変更したこと」「確認の返事に時間がかかったこと」が影響し、上記のようなスケジュール感となりました。
お問い合わせから納品までは2ヶ月かかっていますが、実際ほとんどの時間はクライアントからの返事待ちとなります。企業規模が大きい=確認する人が多い場合は、このようにコミュニケーションに時間がかかる場合が多いです。ベンチャー企業やスタートアップのように規模が小さい場合は、何も問題なければ2週間以内に納品まで進みます。
よくご覧いただくとわかりますが、初回ヒアリングから初稿共有までは中1日で、ヒアリングから48時間以内に初稿を共有しています。
初稿で共有する動画は、以下のレベルの動画になります。
最速で初稿を共有するために、アニメーション制作者のH氏には「参考サイトを事前共有」し「最速で制作して欲しい旨」を伝えています。
リデル様の動画は12時間くらいで制作しました。
今回の案件ではクレメアさんより「最速で制作してほしいけどできますか?」と事前に相談があったので、あらかじめスケジュールを調整することができ「最速」で初稿を制作することができました。
子育てをしながら作業している私の状況を理解した上で仕事を依頼してくださるので助かっています!
アニメーション制作で信頼を勝ち取る簡単な方法は「質の高い動画」を「相手の想像を超える早さで共有する」ことです。これがシンプルで確実な信頼獲得方法になります。
逆に言えば、アニメーション制作者は「質の高い動画」を作れるようになるだけでなく「可能な限り早く、できれば1日で」上記のレベルの動画を作れるようになるのが理想です。
やればできます。やってください。
作り方は実践編で解説します。
企業案件で稼ぐためにアタマにブチ込んでおくべき式
大抵の動画制作者は「動画制作で稼ぐ」ときに、「収入」に対してザックリと以下のようなイメージを持っています。
収入=単価×案件数
このようなイメージを持っている人は「収入を増やすにはどうすればいいか?」という問いに対して「単価を上げるか」「案件数を増やすか」という解決策を考えます。だからこそ「高単価案件を獲得する方法」や「営業手法」といった話題が人気であり、そういったことを教えるツイートや教材に人が集まっています。(この教材もそれに近い切り口で制作しています
このイメージは決して間違いではありませんが、稼ぎたいのであれば、もう1つ意識すべきことがあります。
それが「回転率」です。先ほどの式に回転率を加えると、次のようになります。
収入=単価×案件数×回転率
「動画制作における回転率」とは「一定期間でどの程度の動画を制作しているのかを表す指標」となります。1ヶ月で5本動画を作る人と、1ヶ月で10本動画を作る人がいた場合、後者の方が回転率が良いということになります。アニメーション制作で稼ぐのであれば、回転率の改善も考えた方が良いでしょう。
単価は、動画制作のサービス設計をしたあとは、価格改定をしない限り変えることができない数値になります。改善頻度でいうと数ヶ月に一回変えるかどうかの話となります。
案件数は、集客や営業やリピート施策を改善することによって増やすことはできますが、案件を増やせば増やすほど、自分が忙しくなるデメリットがあります。改善頻度でいうと、案件数は毎月のように変化するので、常に意識すべきことの1つです。
回転率は、自分のアニメーション制作のスキルやフローの見直しによって改善することができます。この数値を改善すると「案件数の上限」を増やすことができ、自分が1ヶ月に制作できる動画の本数も増え、さらには「この人は仕事が早くて助かる」という信頼にもつながります。改善頻度は毎回の動画制作を改善することで変化するので、実は、アニメーション制作者が最もプロ意識を持って改善すべき指標です。
このように構造から知ると、アニメーション制作者への報酬が増えづらいことが理解できると思います。
企業案件で求められる動画の特徴
企業案件では以下のような動画が求められます。
<企業案件で求められる動画の特徴>
- その案件で満たすべき要件を満たしている動画
え?これだけ?と思うかもしれませんが、これだけです。これだけですが、この「要件を満たす」というのが最重要です。
ようするに企業案件は1本1本が完全なオーダーメイドであり、その企業の状況や要望に応じた動画を作るからこそ、高単価の仕事になるわけです。
具体例を話しましょう。
例えば、動画を作るときは「視聴維持率が下がらないようなテンポの良い動画を作りましょう」というのが原則です。では、そのテンポの良さは「どれくらいの早さ」のことを示すのでしょうか?
もし、今回制作する動画の視聴者が主に「20〜30代のサラリーマン」である場合、動画のテンポはYouTubeで見るようなテンポの良い動画で良いでしょう。
ですが、もし今回制作する動画の視聴者が「60代以上の年配の方」だった場合はどうでしょうか?いつもと同じテンポの動画を作ったら、動画の展開が早すぎてわからなくなるかもしれません。文字の大きさが小さすぎて読めないかもしれません。
そういった細かいところまで配慮する姿勢が、企業案件の動画制作では求められます。
詳しくは実践編で解説します。
自己理解
導入編でも触れましたが、「自己理解」は結果を出す上で非常に重要です。「自己理解ができている=自分の現在のステータスを把握している」ことを意味します。
自分のステータスを把握し、自分の資源をどのように割り振るのか?によって、あなたの人生は決まります。逆にいうと、あなたの今の人生は、過去のあなたの選択によって、行動によって決まっているということです。
自分の人生を経営できるのは自分だけ。この自覚を持ち、何事も覚悟を持って取り組むことが結果を出すために重要です。いわゆる自責思考ですね。
自分が持ってるお金、スキル、時間などを把握していますか?それらを意識的に管理・運営していますか?結果を出すために、実際の行動を変えていますか?
未来の結果を変えたいなら、今の行動を変えていきましょう。
時間
例えば、人はみな1日24時間。生きていれば必ず時間があります。「時間がない」と嘆く人は「自分で時間を管理していないだけ」です。
高単価のアニメーション動画クリエイターになりたいあなたは、そうなるために時間を投下していますか?動画を作ってますか?良い動画をリサーチしてますか?毎日何かしら積み重ねていますか?
「なんとなく」でやってることを無くすだけで、あなたの人生は変わります。
例えば、私はこの教材を年末年始に書いています。「それはなぜか?」というと、今の私にとって「この教材を完成させること」が人生で最も大切なことであり、私にしかできないことだからです。なぜそう言い切れるのか?というと私がそう決めたからです。
自分の人生を自分で経営するとは、自分で決めて、自分が決めた通りに動くことを意味します。やる気のある無しはどうでもよく、行動した人のみが結果を残します。
- 皆が紅白歌合戦やガキ使を見ている時、私はこの教材を書いています。
- 皆が除夜の鐘を聴いて2021年の到来を実感している時、私はこの教材を書いています。
- 皆が三が日で神社に初詣に行ってる時、私はこの教材を書いています。
初詣をすれば神様が代わりに教材を作ってくれるのであれば、私は初詣に行きますが、そんなことはありません。
神頼みは、やれることを全部やり切ったヒマ人がやることです。自分にできる範囲のことすらやり切ってない人は、神に祈ってる場合ではありません。
年末年始、あなたは何をしていましたか?年末年始をなんとなく、ゴロゴロして過ごしませんでしたか?なんとなくSNSをきっかけに知った本を読んでいませんでしたか?特にこだわりはないのに「いつもと同じように」年末年始を過ごしませんでしたか?
どんな人でも、自分が選択した行動の積み重ねによって、自分の未来は決まっていきます。
どんな人でも、時間はあります。生きている限り、時間はあります。
まとまった時間を作ろうとしていませんか?「30分の時間があれば何かができる」と考えてる人は「30分単位で生きている人」です。「30分の時間があれば何かができる」と考えてる人は、自分で「30分あれば何かができる」と決めている人になります。そんな縛りで人生を生きていたら、行動力が下がるのは当たり前です。
1分単位で、生活を見直せば、絶対に時間は見つかります。
時間は日々の生活の中で見つけるしかありません。待ち時間ありませんか?移動時間、何をするか決めていますか?食事の時間、あなたはいつも何をしていますか?
生きてる限り、時間はあります。時間は大切に、自分の人生のために使いましょう。
私のアニメーション制作を担当しているH氏は、以下のような状態でアニメーション制作を身につけました。
娘1人(3歳児)の子育てをしていて、1日の作業時間は0〜3時間。子供が就寝した後にVyondで動画制作をしてました。
- 動画制作初心者
- 3歳の娘を子育て中
- 1日の作業時間は0〜3時間
1日3時間でも時間を作れれば、アニメーション制作はできます。ぜひ、自分の生活を見直して、時間を作ってみてください。
逆に時間に余裕がある人は「自分はどの時間帯が最も集中して仕事に取り組めるのか?」を研究するのがオススメですよ。
私は必ず起きたらすぐ仕事をすることにしています。起床直後は仕事のゴールデンタイムなので、土日祝日関係なく、毎日仕事していますね。
マインドセット
質の高いアニメーション制作をするために必要なマインドセット。それは仕事としてアニメーション制作をするということです。
アニメーション制作の仕事にプロ意識を持ち、プロとして、仕事として、アニメーション制作をするのであれば、何をすべきなのか?を常に自問自答できる人が質の高いアニメーションを作れる人になれます。
プロと対極に位置する人が、趣味としてアニメーション制作をする人です。
趣味でアニメーション制作をする人は「自分基準」でアニメーション制作をします。自分が納得する、自分が好きな表現でアニメーション制作ができればOKであり、どれだけ自己満足ができるか?が大事になってきます。
具体的に言えば、趣味でアニメーション制作をしてる人は、以下のような精神でアニメーション制作に取り組んでいます。
<趣味でアニメーション制作をしてる人の例>
- デザインや色彩の基礎を学ばない。全てを雰囲気で決める
- 自分の表現手段を増やすために、良いアニメーション動画を検索したりしない。良いアニメーション動画がたまたま目に入った時だけ「どうすれば良い感じの表現ができるんだろう?」と悩む
- アニメーション動画を制作する時、納期を決めたり、制限時間を決めたりしない。自分が作りたい時に作り、飽きたら作るのをやめている
- SNS上で他の人が、自分でも作れそうなアニメーション動画をアップしてるのを見て、安心する
- Vyondで制作された動画を見て、作り方が理解できただけで「自分でも作れる」と思い込み、いざ「じゃあ作って!」と言われても、作ることができない
- アニメーション動画を他の人に見せない。今の自分に実力がないと薄々気づいていても、それを他の人に指摘されるのはむかつくから、見せたくない。かといって良い動画を作れるわけではないし、改善方法もわかっていない
- アニメーション動画を作って他の人に見せた時、褒められないと機嫌が悪くなる。改善点を指摘されても、むかつくから改善しない
- 1からアニメーションを作るのが大変そうなので、とりあえず使えそうなテンプレを当てはめてみる
- BGMを探すのが面倒くさいので、いつも使ってるBGMを使い回す
このような姿勢でアニメーション制作をしている人は、仕事ではなく趣味としてアニメーション制作をしている人になります。この人が最も大事にしているのは「自己満足」であり、自己満足の基準は常に揺れ動くので、その時の気分次第でアニメーション制作に向かう姿勢が変わることになります。
「趣味でアニメーション制作をするのがいけない」のではなく「アニメーション制作を仕事にしたいのであれば、趣味感覚でやっても結果が出ないから気をつけましょう」という話です。
この状態で「質の高いアニメーション制作」をするのは不可能に近いです。心構えを叩き直していきましょう。
仕事としてアニメーション制作をしている人は「クライアント基準」で「クライアントがアニメーション動画を通じて達成したいこと」に最大限貢献できるよう尽力します。
具体的に言えば、仕事としてアニメーション制作をしてる人は、以下のような精神でアニメーション制作に取り組んでいます。
<仕事でアニメーション制作をしてる人の例>
- デザインや色彩の基礎を学ぶ。どうすれば良いかわからない場合は基礎に立ち返る
- 自分の表現手段を増やすために、他の人が制作したアニメーション動画を検索する。良いアニメーション動画があった場合、それを保管しておき、自分の制作に活かす
- アニメーション動画を制作する時、必ず納期を決める。制限時間内に条件に合った品質の動画を制作完了できるように努める
- 他に人が制作した動画から学べることを学び、自分のモノにする。新しく動画を作るたびに、何かしらの改善を積み重ねる
- 他の人がVyondで制作した動画を見ない。むしろ、知らない間に自分が制作した動画をマネされている
- アニメーション動画をデザイナーやディレクターなど厳しい目を持った人に見せる。その上で改善点を指摘されたら、なぜ改善すべきなのかを理解した上で改善する
- 他人に褒められようが貶されようが、黙々とアニメーション制作をする。気分で仕事をしない
- 初めから用意されているテンプレは極力使わない。自分独自のテンプレを制作し、自分のアニメーション表現が陳腐化しないよう心がける
- BGMを探すのが面倒くさくても、制作する動画に合うBGMをリサーチする
高単価なアニメーション制作者は、上記のような心構えで仕事をしています。結局は「自分を優先するか」「クライアントを優先するか」が趣味と仕事の違いになります。
常に「プロだったら、どうするか?」を基準にアニメーション制作をすると、質が上がっていきます。
利害関係者の理解
高単価なアニメーション動画クリエイターとして仕事をしたいのであれば、利害関係者の役割や心情を理解しておくと、より仕事をしやすくなります。
ここでは、アニメーション制作者が深く関わるであろう以下の4者の役割・心情を解説します。
<アニメーション制作に関わる人>
- クライアント
- ディレクター
- アニメーション制作者
- 視聴者
なお、ディレクターとアニメーション制作者の業務の割り振りに関しては、こちらの前提で進めていきます。
<アニメーション動画制作の業務割り振り>
人員(2名)
- ディレクター
- アニメーション制作者(H氏)
仕事内容
- 営業
- ヒアリング
- 企画
- 構成
- 台本制作
- アニメーション制作
- ナレーション収録(ナレーターに依頼)
- アニメーション調整
- 納品
ここをしっかり理解することで、ちゃんとした動画クリエイターであると認識してもらえますよ。
クライアントの理解
クライアントはそもそも「アニメーション動画制作を依頼したい」とは考えていません。いきなり「アニメーション動画制作やってます。いかがですか?」と言ったところで「そうなんですね」と表向きは答えつつ「それで?どんな動画作れるの?……あーこんな感じね」と内心思うだけです。
では「どういう人がクライアントとして、アニメーション制作を依頼するのか?」、それを理解するための突破口となるのが、その人の持つ「悩み」です。
結論から言うと、クライアントは自分の事業・ビジネスにおいて、何かしらの課題=悩みを持っており、その課題を解決するための手段としてアニメーション動画が有効であると理解して初めて、アニメーション動画制作を依頼します。
クライアントにとって、動画は課題解決のための手段の1つに過ぎないと言うことです。
例えば、以下のような悩みを持っています。
<クライアントの持つ悩み>
- 新規顧客が増えなくて困っている
- 商品やサービスが売れなくて困っている
- 価値を理解してもらえず困っている
- 利益が上がらなくて困っている
- 赤字で困っている
- etc
こういった悩みを持っており、これらの悩み解決が期待できるからこそ、アニメーション動画制作を依頼するということです。
この大前提を理解せずに動画を作ると、軸がぶれるので、しっかりと「今回はどんな課題を解決するために動画を作るのか?」を理解しましょう。
大前提が理解できない場合は、ディレクターに必ず確認をしてください。質問をしてもディレクターが答えられなかった場合、それはわかってないディレクターなので違う人の元で仕事をするのがオススメです。
アニメーション制作事業において、クライアントはどのような立場か?というと、クライアントは依頼主であり、お金を支払って、対価としてアニメーション動画を受け取る立場にあります。
アニメーション制作をする立場であるディレクター、アニメーション制作者は、クライアントの悩みを解決するためのアニメーション動画を作って納品し、その対価としてお金を受け取るということですね。
アニメーション制作の仕事はクライアントがいるからこそ、成り立っている仕事であると言えます。
そして、全てのクライアントは以下のような役割を持っています。
<クライアントの役割>
- 通常、クライアントは社内で動画の担当者を決め、その人を代表者として動画制作案件を進める。担当者が各工程において誰に何を確認するのかを理解していると、コミュニケーションがスムーズになる
- 担当者は制作する動画を最大限活用するために、社内の動画活用要件をまとめる立場にある。社内で要件がまとまっていない場合、動画制作するタイミングではないので、事前に社内で意思確認・要件定義をする
- 制作する動画の要件を決める立場にある。クライアントが決めた要件を軸として、アニメーション動画制作は進行する
- クライアントは制作した動画の台本やデザインを確認し、承認する立場にある。「どの段階で何を決めなければいけないのか?=どの段階で後戻りができなくなるのか?」を理解することで、スムーズに動画制作が進む
- 制作した動画を最終確認し、納品を承認する立場にある
- アニメーション動画制作に必要な経費を支払う立場にある。通常、支払い時期は納品月の翌月末払いとなる
クライアントの主な役割は「要件定義・確認・支払い」などがあります。
また、全てのクライアントは、以下のような欲求を持っています。
<全てのクライアントに共通する欲求>
- 可能な限り、早く動画を納品して欲しい
「どんなに遅くても良いから、質の高い動画を納品して欲しい」と頼むクライアントはいません。「できるだけ早く納品して欲しい」というのは全てのクライアントに共通する欲求です。
だからこそ、アニメーション制作の仕事をする上で「制作スピード」は非常に重要であり、クライアントの期待を超える速さで動画制作をすることで信頼を勝ち取ることができます。
中には「時間をかけて、質の高い動画を納品した方が良くないですか?」と質問してくる人もいますが、そうとは限りません。そもそも「時間をかけて」というのは「具体的にどれくらいの時間か」説明できますか?また「質の高い動画」とは「具体的にどのようなクオリティか」説明できますか?これらを言語化し説明できると、仕事を依頼しやすい頼れるアニメーション制作者になれますので「自分ができることの言語化」は常に意識して、アップデートしていきましょう。
また、仕事としてアニメーション動画制作を依頼しているクライアントは、以下のようなことができるディレクター・アニメーション制作者を求めています。
<クライアントが求める暗黙の条件>
- 納期を必ず守る
- ビジネス的な対応ができる
- スムーズなコミュニケーションができる
- 各利害関係者の役割を理解してる
- 期待値調整ができる
- 質のすり合わせができる
- ビジネス的な対応ができる
- キツイ時はアラートを出せる
- 追加費用が必要な時は事前相談ができる
- 自分以外に仕事を振れる仲間がいる
- 丁寧な言葉遣いや挨拶をする
- etc
こういったことが当たり前にできるからこそ、信頼され、報酬としてお金をいただくことができます。
クレメア
仕事として動画制作をするのであれば、上記が「できる、できない」とかではなく、「できて当たり前のことである」と「クライアント」が認識しているということです。
企業案件動画に興味がある人は、最低限ここまで説明してきたクライアントの役割や心情を理解しておきましょう。
ディレクターの理解
ディレクターはクライアントからアニメーション動画制作の仕事を直接依頼される立場であり、同時にアニメーション制作者に仕事を依頼する立場にもなります。
アニメーション制作事業における中間管理職です。
アニメーション制作事業におけるディレクターは、以下のような役割を持っています。
<ディレクターの役割>
- クライアントと直接やり取りする立場にある。※営業の人がいる場合は、窓口は営業の人がやり、ディレクターはディレクションに注力する場合もある
- 制作する動画の要件をクライアントからヒアリングし、まとめる立場にある。クライアントからの情報に過不足があれば、それを整える。クライアントが動画の要件を決める際の補助をし、確定させる
- アニメーション動画制作のフローを管理し、クライアントを含めそれぞれの立場の人を指揮する立場にある。ディレクターの指揮が明瞭だと、案件がスムーズに進行する
- 案件の予算を管理し、アニメーション制作に必要な人員を割当て、制作を進行する立場にある。各自の仕事内容や納期、報酬などを適切に決める必要がある
- クライアントにアニメーション動画を納品する責任がある
- 業務を委託する制作メンバーを募集・管理する立場にある
- クライアントに制作した動画の確認を促し、制作メンバーに修正指示を出す立場にある
- クライアントからアニメーション制作の報酬を受け取る立場にあり、同時に制作メンバーに報酬を支払う立場でもある
ディレクターの役割を一言で言うと「ディレクション」になりますね。
また、ディレクターはアニメーション制作者に対し、以下のような欲求を持っています。
<アニメーション制作者に対する欲求>
- 可能な限り、早く動画を制作してほしい。納期を守るのは当然であり、納期を破る人は一発アウトとして考えている
- 表現の意図を説明できる状態にしてほしい
- 常に表現の引き出しを増やしておいてほしい
ディレクターにとって最も大切なことは、自分のことを信頼して仕事を依頼しているクライアントの信頼を裏切らないこと=納期までに制作物を納品することにあります。
そのためとにかく納期を守ることは最重要です。ここができない人は、絶対に仕事が来ないですし、一般的にどのディレクターも一緒に仕事ができないと判断しますので、納期は必ず守るようにしましょう。納期を守るためにも、普段からどんな動画を作る上でも「納期を自分で設定」して「納期慣れ」することが大切です。
また、企業案件のビジネスモデルのところでも解説しましたが「収入=単価×案件数×回転率」であり、この「回転率」を上げるためにも、可能な限り早く動画を制作することが大切です。回転率が低いアニメーション制作者は、クライアントの信頼もディレクターの信頼も下がり、かつ稼げる金額も下がると言う負のループに陥りますので、制作スピードの向上は常に意識しましょう。
逆に言えば、制作スピードが早いアニメーション制作者は非常に重宝されます。
そして「表現の意図を説明できる状態にする」のは「クライアントからの信頼を得るため」にも大切なことです。「なぜ、表現の意図を説明できると、クライアントから信頼を得られるのか?」というと、クライアントから質問が来た時に「今回の動画は○○という悩みを持つ視聴者が見ることを前提としていますので、このような表現にしました」などと説明できるからです。
表現の意図が説明できるとクライアントは「ここまで考えて作ってくれているんだ」となり、制作チームを信頼してくれます。逆に、クライアントから「ちょっと考えればわかる程度のこと」を指摘された時に「確かにそうですね」などと返事をすると、クライアントに内心「この人が作る動画は大丈夫なのだろうか?」と思われてしまいます。
だからこそ「表現の意図を説明できる状態にすること」は大切ですし、それが「質の高いアニメーションを作ること」にも繋がっていきます。逆に言えば「質の低いアニメーション」に共通することは「意図を説明できない状態で、適当に表現していること」と言うこともできます。
「表現の意図」と「要件定義」が一貫した動画=「パッと見で良いと感じる動画」になります。
また「常に表現の引き出しを増やしておく」というのは「アニメーション制作者のプロ」として、日常的にやっていて欲しいことです。
ディレクターとして一緒に仕事をしたくないアニメーション制作者は仕事としてやってる自覚がない人、プロの自覚がない人です。例えば「これで出して、なんか言われたら直せばいいや」と考えてる人。ディレクターからすると、このタイプの人は最悪です。何が最悪かと言うと「ディレクターの仕事を増やしてるから」です。
仕事としてお金をもらうのであれば、自分の責務を全うするのは当然のことです。
そもそもアニメーション制作者の仕事は「アニメーションを作ること」です。にも関わらず、それすら1人で完結できず「これで出して、指摘されたら直そう」と考える人はプロ意識が欠如してると言わざるを得ません。このようなマインドセットでは良いものは作れませんので「ラクしたいなー」みたいな下心は捨ててください。
逆に、こちらが指摘せずとも隅々まで考え抜いた上で、一発で良い感じの動画を制作してきてくれる人は「さすが」「次もこの人に依頼しよう」となります。
アニメーション制作者はたくさんいますが「仕事ができるアニメーション制作者」はまだまだ少ないので、このポジションを目指しましょう。
アニメーション制作者の理解
アニメーション制作者であるあなたは、なぜ動画制作をするのでしょうか?わざわざアニメーション制作をする役割を買って出ているのはどうしてでしょうか?
例えば、あなたが「自分は動画制作が好きだから」動画制作をしているとします。その場合、あなたにとって「動画制作=趣味」であり、あなたが動画制作をする理由は「その動画制作案件がワクワクするから」や「動画制作をしているのがただただ楽しいから」のようになります。
クレメア
ただ、この教材を読んでいる人は趣味として動画制作をしているわけではないでしょう。
「動画制作」を「趣味」としてやってるわけではない人は、「何」として「動画制作」をしているのでしょうか?
それは「仕事」としてですね。
クレメア
もし、あなたが「お金を稼ぐために動画制作をしている」のであれば、あなたは「仕事」として「動画制作」をしていることになります。
そして、これが大切なのですが、「仕事」として「動画制作」をするのであれば、あなたの動画制作は「仕事レベルのクオリティ」が求められ、それを満たさない限りは、仕事が来ないことになるわけです。
「仕事としての動画制作」は「趣味としての動画制作」と違い「対価としての報酬=お金」が重要視されます。「仕事」として「動画制作」をする動画制作者は「お金が欲しい」からこそ、動画制作をしているわけです。
まずはこれを認めることが大事です。「自分は仕事として、お金を稼ぐために動画制作をしている」としっかり自認し、それと同時に「お金をもらうだけの価値を生み出すことを覚悟する」ことが、動画制作者として結果を出すためのスタート地点になります。
クレメア
お金は天から降ってくるものではなく、価値提供をした対価として受け取るものですからね。
他の人が「自分基準の甘い動画制作」をしてる間に、「仕事基準のアニメーション制作」をすると、間違いなくアタマ1つ飛び抜けた存在になれますよ。
アニメーション制作事業におけるアニメーション制作者は、以下のような役割を持っています。
<アニメーション制作者の役割>
- ディレクターの指揮のもとアニメーション制作をする立場にある。クライアントと直接やり取りすることはない
- ディレクターがまとめた制作動画の要件を確認し、アニメーション動画を制作する立場にある。動画の制作に必要な情報が不足してる場合や、理解できない点がある場合はディレクターに確認する
- 納期を確認し、必ず納期内に動画を仕上げる。納期内に間に合わなそうな場合、キツそうな時はアラートを出す
- 依頼された動画の要件に合わせて動画を制作する。なんとなく動画を制作したり、自分勝手な基準で動画を作ったりしない
- 納期や要件に合わせた質の調整をする
- ビジネス的な対応をする。褒められたい、認められたい、頑張ったから褒めて欲しい、といった自分基準、自分の都合を抑えることができる
- 利害関係者の役割を理解している
アニメーション制作者はディレクターから提示された報酬を対価として、自分の時間とスキルを駆使して、クライアントの希望に合うアニメーション制作をする必要があります。
基本的にはどの案件も納期が決まっており、納期内に動画を完成させる責任があります。
クレメア
仕事として報酬=お金をいただきたいのであれば、今一度アニメーション制作者に求められる役割を理解しましょう。
初期の立ち回り
アニメーション制作における初期の立ち回りは「今の自分のステータスはどうなっているのか?」「どのように稼ぎたいのか?」「どれくらい稼ぎたいのか?」によって決まってきます。
特に「こうなりたい」ではなく「現状がどうなってるのか?」を正確に把握すること=現状理解をすることが重要です。周りの人と比較して、焦って身の丈に合わない行動をしても、結果が振るわずに数ヶ月で息が切れてしまうので、地に足についた自己分析および行動を心がけていきましょう。
クレメア
誤った選択をして時間やお金をロスしないように、超固めに見積もった上で行動するのがオススメです。
仕事のスタイル
アニメーション制作における仕事のスタイルは大きく分けて「チームに入る」「個人で稼ぐ」「チームを作る」の3つがあります。
「どのような状況=現状」から「どのような状態=理想」になりたいのか?そのために「どれくらい時間やお金やスキル=資源」を提供できるのか?を今一度考えていきましょう。
クレメア
それぞれの仕事のスタイルについて解説していきます。
チームに入る:初心者向け、想定月収5〜30万
アニメーション制作者として稼ぐ上で、多くの人にとって一番現実的な選択肢はこちらです。自分で案件を取らずにディレクターのもとで動画制作をする場合や、クラウドソーシング案件などがこれに該当します。
クレメア
まずはメリットについて解説します。
<チームに入るメリット>
- アニメーション制作だけでお金を稼ぐことができる
- 仕事をしたら、きちんとお金をもらえる
- 自分が制作した動画のフィードバックを無料で受けることができる
- 自分のアタマで意思決定をしなくてもいい
- 自分が苦手な仕事、できない仕事はやらないで済む
- クライアントと連絡を取る必要がない
- 自分で直営業する必要がない
- 働ける時間が短い人でも収益化ができる
- 他の人の仕事から学ぶことができる
チームに入るメリットは、確実にお金を稼げる点です。「○分の動画を制作したら○○円もらえる」と決まっており、基本的に動画を制作したのに報酬が入らないなどといったことも起こりません。月に10万程度稼げればOKという人は、チームに入るのが最も実現可能性が高いです。月に数十万稼ぎたい人は、チームに入りつつ、個人で稼ぐことにチャレンジしていくと良いでしょう。
高単価アニメーション動画クリエイターであれば、月に2分動画を3〜5本作れば10〜15万程度稼げるようになります。
そして何より、チームに入る最大のメリットは、一緒に仕事をする人から直接学ぶことができる点にあります。
クレメア
チームに入る場合は「一緒に仕事する人」超大事です。
例えば、私がこの教材で書いていることは、私が実際にH氏に教えてきた内容の一部に過ぎません。H氏に話してきたことの中で「アニメーション制作に関すること」だけを抽出し、まとめたものがこの教材になります。
実際に一緒に仕事をしていると、細かいフィードバックをせざるを得ませんし、どのような営業戦略で何を狙って動画を作るのか?、クライアントにどのような提案をしているのか?などを説明せざるを得ないので、見方によっては最高に学べる環境となります。
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ただ、チームに入る選択肢には以下のようなデメリットもあります。
<チームに入るデメリット>
- 低単価で成長できないチームが9割以上であり、高単価かつ成長できるチームは非常に少ない
- 良いチームは入るのが大変
- 自分に合うかどうかは、入ってみないとわからない
- 結局は個人と個人の関係となるため、相性の問題が絡んでくる
- 一緒に仕事をする人のレベルが低いと成長できない
- 濃い関係を築けないと、大したフィードバックはもらえない
- チームメンバーを信じることができない人は学べる機会を活かすことはできない
正直、きちんと仕事できる人かつ教えることができる人に出会える確率は非常に低いです。もし奇跡的に出会えたらその出会いを大切にしましょう。
そして、どんなチームに入るにせよ、その環境を活かせるかどうかは、その人の心構えや、チームメンバーとの相性などが関わってきます。
クレメア
例えば、私はめったに褒めません。動画を共有されたら、前置きなど一切なく修正点をコメントします。そのため、褒められないとやっていけないタイプの人は、私と相性が悪いです。(そもそも、そういうタイプの人は怖がって私のところに来ないですがw
ということで、現実的な立ち回りを考えると、動画制作で日銭を稼ぐ必要がある場合や、少しでもお金を稼ぎたい場合は、とりあえずチームに入って案件をこなして稼ぐ。(奇跡的に良いチームに入ったらそこで学び尽くす
良いチームに入れなかった場合は、稼いだお金を書籍や教材を買ったりコンサルを受けたりするお金として再投資し、スキルアップ、事業の拡大を目指す、という感じですね。
クレメア
私もビジネスを始めた最初の数年は貯金をせずに自己投資しまくったので、お金は自分のスキルや脳みそに再投資することに使うのがオススメです。
個人で稼ぐ:中級者向け、想定月収0〜100万
アニメーション制作者として稼ぐ上で、より多くのお金を稼ぎたい人が取る選択肢がこちらです。自分で営業から納品までこなす人が該当します。
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まずはメリットについて解説します。
<個人で稼ぐメリット>
- 稼いだお金はすべて自分のモノになる
- 月収100万超えも現実的に可能
- 人間関係のストレスなし
- 全部自分でやるのでスピード感がある
- コミュニケーションコストがない
- ちょうど良い負荷で仕事量を抑えることが可能
すでにアニメーション動画制作事業の進め方を理解しており、何をどうすれば結果が出るのか見えている人は、個人でサクサク進めた方がストレスもなく、結果が出るのも早いです。
クレメア
スピード感とストレスのなさが個人で稼ぐ1番のメリットですね。人間関係が煩わしい人はこれ1択です。
アニメーション動画制作は単価が高いので、個人で稼ぐだけでも月収100万円程度であれば十分に実現可能です。高単価アニメーション動画クリエイターであれば、週1本動画を作れば月100万程度の売り上げになります。
クレメア
ただ、個人で稼ぐ選択肢には以下のようなデメリットもあります。
<個人で稼ぐデメリット>
- 何をすればわかってないと、結果が出ない
- 全て自分で解決しなければいけない
- 時間的な限界が来る
- 仲間に任せることができない
- 自分から動かない限り情報が入ってこないため、自分の立ち位置がわからなくなる
- 仕事の増加=時間の減少にとなるので、自由とは程遠い
個人で稼ぐ=1人で稼ぐ場合、アニメーション制作にまつわる全ての仕事、営業、ヒアリング、企画、構成、台本制作、アニメーション制作などを1人でやる必要があります。これらをビジネス初心者が1人で全てをやるのは非効率であり、実現可能性が低いので、オススメしません。
また、個人で稼ぐと必ず「1日24時間という時間的な限界が来る」という構造上の問題が発生します。この問題に対する対処法は「1人で稼ぐことにこだわり、更なる利益追求はあきらめる」もしくは「1人で稼ぐ快適さを捨てて、チーム化して業務拡大をする」というのが基本的な流れになります。
クレメア
1人で稼ぎ続けるか、チームで稼ぐことに挑戦するか、自分の性格やアニメーション制作をする目的なども加味して決めていきましょう。
チームを作る:上級者向け、想定月収10〜300万以上
もし、あなたがアニメーション動画制作で安定して稼ぎたい、大きく稼ぎたいのであれば、チームを作ることに挑戦しましょう。
クレメア
まずはメリットについて解説します。
<チームを作るメリット>
- 仕事を任せることで、自分の時間を確保できる
- 自分が苦手な仕事をやらなくて済む
- 対応できる動画本数が増える
- 案件数が増えるため、単位時間あたりの経験値が増える
- 稼げる金額が増える
- 自分だけでは作れないハイクオリティな動画を作れる
チームを作ると自分以外の人の時間やスキルを活用できるため、対応できる仕事の量や幅が広がっていきます。その結果、個人で稼ぐより多くの売り上げを上げることに挑戦できます。
チームを作る時に、どのような座組みでチームを作るのかは、自分がどんな仕事をして、何を強みとしてサービス展開するのかが大きく関係してきます。
クレメア
自分がチームを作る場合は、基本的に相談できる相手は存在せず、全て自分で考えて決める必要があるので、最初が特に大変です。
勝手がわからない場合は、他の人のチームに入ったり、情報収集するなどをすることを推奨します。
仕事内容によっては、固定チームとして考えるのではなく、仕事があった時に協力する関係にある、緩やかな繋がりを作っておくのもありです。
最初はどのような形でチームを作れば良いのか、最適な座組みがわからない可能性があるので、様々な形でチームを作り、うまく回る座組みが分かった段階で契約書を作ると良いでしょう。
クレメア
ただ、チームを作る選択肢には以下のようなデメリットもあります。
<チームを作るデメリット>
- 信頼がなければチーム構築ができない
- チームメンバーに報酬を支払う必要がある
- コミュニケーションコストが増える
- 人間関係のストレスが生まれるリスクがある
- マネジメントする必要がある
- 教育をする必要がある
そもそも多くの人は信頼される状態を作れていないため、チーム構築ができません。まず、信頼を積み上げていくためにも、継続して情報発信をしていくことが大切です。
また、チームメンバーに報酬を支払う必要があるため、1本5万〜10万という単価でチームで仕事をするとジリ貧になっていきます。予算を確保するためにも、高単価で立ち回れるほどの強みを作っていく必要があります。
クレメア
この教材で解説している「質の高いアニメーション動画を作れる」というのは、強みの1つに過ぎません。実際に仕事をしていく上では、参入障壁の高い別の強みと掛け合わせていくことが大切です。
そして、チームを運営してくためにはコミュニケーション能力が必要であり、仕事の段取りを舵取りしていくディレクション能力も必須になっていきます。
クレメア
人をまとめたり、指示を出すのが得意でない人は、まず自分1人で稼げるようになり、それからチーム運営に挑戦するのが無難ですね。
以上、理解編の解説でした。
おまけ
おまけパートとして「YouTube案件のビジネスモデル」を紹介します。
YouTube案件のビジネスモデル
結論から言うと「YouTube案件」は「求められる動画の完成度は低いですが、その分1本あたりの報酬も数千円から数万程度となる案件」と言うことができます。
まず、YouTube案件の登場人物は以下のような人がいます。
<YouTube案件の登場人物>
- YouTube
- アニメーション動画チャンネル運営者(以下、運営者)
- シナリオライター
- ナレーター
- アニメーション制作者
YouTubeは言わずと知れた世界一の動画投稿サイトです。ユーザーは動画を投稿し、広告収益を得ることができます。(収益化にはチャンネル登録者1,000人以上、総再生時間4,000時間以上といった条件があります)
運営者は何かしらのYouTubeチャンネルを運営し、そこから収益を上げることを目的に活動をしています。全て外注でチャンネルを作る人もいれば、自分の制作に参加し、ナレーションなど制作に必要な業務の一部を外注化している人もいます。
YouTubeチャンネルの運営に興味がある人は「自分が運営者だったらどうするか?」を想定しながら読んでみてください。
シナリオライターは動画のシナリオを考え、台本を書く人です。基本的には文字単価0.5円〜2円程度、動画1本2,500円〜10,000円で仕事を請け負う人が多く、動画を作る上で必要な仕事になります。
ナレーターは動画の声を吹き込む人です。基本的には、動画の長さは5分〜10分程度で1本500〜2,000円で仕事を請け負う人が多く、こちらも動画には欠かせない仕事になります。
アニメーション制作者は動画のアニメーションを制作する人です。基本的には1本5,000円〜10,000円程度で仕事を請け負う人が多いです。以下の画像はアニメーション制作者の募集事例です。
YouTube案件が気になってる人は、まずはこれらの概観を抑えましょう。
まずはこの基本を抑え、そして自分の報酬がどこから出てるのかを理解することが大切です。
余談ですが、私はチャンネル登録者20万人超のYouTuberのコンサルもしており、アナリティクスデータも見ているため、仕事にする程度にはYouTubeに詳しいです。
具体例:本要約チャンネル
例えば、以下のような本要約チャンネルを運用している場合。
<事例:本要約チャンネル>
- テーマ:本要約系
- チャンネル登録者数:10万人
- 1ヶ月の投稿本数:30本(毎日更新)
- 動画1本あたりの平均再生回数:5万回
- 月間総再生回数:150万回
- 月間推定収益:30万〜80万円
ここでは仮に月間推定収益を50万円であると仮定しましょう。この50万円というのが「アニメーション制作者」の報酬の元手ということになります。
これはあくまで「元手」に過ぎず、ここからさらに分配していくことになります。
まず、動画1本あたりの収益を出すと50万÷30本=約16,667円/本になります。1本あたりの広告収益が約16,667円というだけで、これが全てアニメーション制作者のモノになるわけではありません。
仮に以下の4人体制で動画制作をしていた場合、少なくともこの4人でこの報酬を分け合うことになります。
<動画制作チームメンバー>
- 運営者
- シナリオライター
- ナレーター
- アニメーション制作者
報酬を分けるにあたり、決定権のある人は運営者です。この運営者は広告収益が得られていないときからリスクを取り、チャンネルを育ててきた人になります。この人にとってアニメーション制作やその他の制作に必要な費用は、あくまで制作費に過ぎません。そこを削れば削るほど、運営者に利益が残ります。
あなたが運営者の立場だったら、利益を残すために、制作費はできるだけ安く抑えたくなりませんか?
となると、やることは1つ。より低単価で仕事をしてくれる人を雇うために、相場が安いところで、かつ応募者が集まる場所で外注先を募集します。その場所というのがクラウドソーシングサイトということです。
その結果、10分動画1本あたりの報酬が5,000円〜10,000円程度になっているわけですね。
アニメーション制作者が増えれば増えるほど、報酬はもっと下がっていくことでしょう。
このように構造から知ると、アニメーション制作者への報酬が増えづらいことが理解できると思います。
YouTube案件で求められる動画の特徴
おまけに広告収益の獲得を目的としたYouTubeチャンネルでは以下のような動画が求められます。
<YouTube案件で求められる動画の特徴>
- 視聴者が離脱しないテンポの良い動画が求められる
- 更新頻度を落とさない程度の制作スピードを維持するために、ある程度、テンプレートを活用した作り方になる
- YouTubeで視聴者が見るだけなので、そこまで細かい質の良さは追求されず、チェックが甘い
- 経験が少ない人でも制作できるレベル感でOK
- 予算に限りがあるため、報酬は可能な限り低く抑えられる
これらの特徴が良い悪いという話ではなく「自分の条件と合うかどうか?」が大事になってきます。
上記のような特徴があるので、以下のような人が相性が良いと考えられます。
<YouTube案件と相性が良い人>
- まだVyondでの動画制作に自信がないので、とりあえず案件をやってみて件数をこなしてみたい人
- 在宅で月収3〜5万円程度の収入が増えればOKで、アニメーション動画制作が好きな人
- アニメーション制作スピードが早い人
これらのYouTube案件は、クラウドソーシングサイトで「Vyond」で検索するとすぐに見つかるので、気になる人は検索してみてください。
ここまで話してきたのは「一般的なYouTube案件」の話なので、最後に「オススメのYouTube案件の特徴」を書いておきます。
オススメのYouTube案件の特徴
オススメのYouTube案件の特徴は以下の通りです。
<報酬が高いYouTube案件の特徴>
- 運営者が他の事業で成功している人で、YouTubeで動画投稿をするために必要なコストを、他の事業で稼いだお金から出すことが見込まれる
- 運営者がクリエイターに敬意を払うタイプであり、しっかりと報酬を支払う意思がある
- 運営してるチャンネルの平均再生数が多く、毎月ある程度の収入がYouTubeから得られていると推測される
これらの案件に共通することは、アニメーション制作者に支払う予算の上限が高いことが見込まれる点です。
こういった案件はクラウドソーシングサイトより、ツイッターの方が見つかる可能性は高いです。興味がある人はビジネス系インフルエンサーや事業家・実業家の投稿を注意深く見守ってみると良いでしょう。
私がYouTube案件で稼ぐことを狙うのであれば、動画の企画とチームを考えて、それをビジネス系インフルエンサーに提案したりします。
「無い袖は振れない」ので予算がある運営者の案件を得ることが大事です。