この記事では、実際にアニメーション制作をする上で「どのように進めていけば良いのか」その手順を解説していきます。
動画制作初心者であったH氏が、全くの動画制作初心者から高単価アニメーション動画クリエイターになる上で、実際にやってきたことを解説しています。
娘1人(3歳児)の子育てをしながら、1日0〜3時間の作業時間を確保して、動画制作をしていました。
3ヶ月目には企業案件動画の制作をするまでになったので、企業案件動画に興味がある方はぜひ参考にしてください。
- 質の高いアニメーション動画の3つの条件とは
- ステップ1:事前に確認すべきこと
- ステップ2:目的の確認 なぜ作るのか?
- ステップ3:大原則 納期はいつか?
- ステップ4:登場人物の整理 だれが関係するのか?
- ステップ5:事前リサーチ
- ステップ6:動画デザインの設計
- ステップ7:シーン作成
- 余白:デザインは引き算
- 整える:「ズレ」と「ズラし」の違い
- 被り:奥行き(Z軸)への配慮
- エフェクト設定:シンプル is ベスト
- 視線誘導:飽きさせないカメラワーク
- コラム:リッチ感を出す方法
- コラム:アニメーション表現を増やすコツは?
- ステップ8:BGMと効果音
- ステップ8.5:初稿の完成
- ステップ9:ナレーション収録
- ステップ10:アニメーション(テンポ)調整
- 完成
- 高単価アニメーション動画クリエイターの仕事
- 読了後アンケート
質の高いアニメーション動画の3つの条件とは
高単価アニメーション動画クリエイターになるためには「質の高いアニメーション動画制作」ができる必要があります。
ということで、まずは「質の高いアニメーション動画が満たしている条件」を確認していきます。
<質の高いアニメーション動画が満たしている条件>
- アニメーション制作に至るまでの前工程をクリアしている
- 制作するアニメーション動画の要件定義を理解した上で制作されている
- アニメーション動画を構成する全ての要素が意図を持って制作されている
質の高いアニメーション動画は、基本的に上記の条件を満たしており、結果として「パッと見で、1度見ただけで良いと感じる動画」になります。
高単価なアニメーション動画クリエイターは「質の高いアニメーション動画制作」を仕事として請負い、完遂できるからこそ、1分1万円以上という報酬を得ることができるわけです。
質の高いアニメーション動画を制作できると、アニメーション制作のビジネスがあらゆる面で好転するため、ぜひチャレンジしてみてください。
順番に解説します。
1.アニメーション制作に至るまでの前工程をクリアしている
私のアニメーション制作のフローを具体例に解説します。
私の動画制作チームでは、以下のようなフローでアニメーション動画を制作しています。
<アニメーション動画制作フロー>
- 営業
- ヒアリング
- 企画
- 構成
- 台本制作
↑ ここまでが前工程 ↑ - アニメーション制作
- ナレーション収録
- アニメーション調整
- 納品
「質の高いアニメーション制作」をするためには、アニメーション制作に至るまでの前工程にある「営業」「ヒアリング」「企画」「構成」「台本制作」を問題なくクリアしている必要があります。
言い換えると「前工程でミスってる動画制作は、アニメーション制作の時点でどんなに頑張ろうと、取り返しがつかない」ということです。
そして、綺麗事抜きの結論から言うと「ビジネス初心者で企画やらヒアリングやら台本制作やらが何かわからない!」という状態の人は、一旦、1人で上記の工程を全てやることをあきらめて、アニメーション制作だけでもプロとして仕事ができる状態になることを、まずは目指してください。これだけでもできるようになれば、アニメーション制作者として仕事を請け負うことができます。
数年単位で挑戦するなら希望はありますが、数ヶ月で全てを身につけるのは不可能です。
まずは「質の高いアニメーション制作ができる」というスキルを身につけ、アニメーション制作の仕事だけでも稼げる状態を目指しましょう。
その後、複合的なスキルとしてライティングやヒアリングスキルを身につけていくことで、より多くの報酬を得ることができるようになります。
「質の高いアニメーション動画制作」ができるようになると、ヒアリングや営業など他のスキルを身につける時の学びの質も良くなります。
そのため、まずは「アニメーション制作」のスキルを「深いレベル=高単価で仕事を受け終えるレベルまで」身につけるのがオススメです。
具体的には「チームに所属し、そこでアニメーション制作の仕事を請け負う」ことを基本としつつ「並行して空いてる時間を活用して、自分1人で動画制作の仕事をする」のが現実的です。メインはチーム、サブは個人というイメージですね。
現在は始めから1人で動画制作の仕事をしようとしてる人が多いですが、それよりもチームでの活動を軸とする方が長期的に見て成長速度が速く、稼げるスピードも速いです。
チームに所属するということは、言い換えると「営業やヒアリングや台本制作など、今の自分にできない仕事を外注化しつつ、実際の案件をこなすことでアニメーション動画制作の仕事を極めていくこと」を意味します。
質の高いアニメーション制作をするためには、アニメーション制作に至るまでの前工程を問題なくクリアする必要があり、それらを全て自分でクリアするのは難しいので、一旦そこは外注化しましょう、ということです。
「アニメーション制作に至るまでの前工程をクリアしてる状態とは、どのような状態か?」はこのあとに説明します。
2.制作するアニメーション動画の要件定義を理解した上で制作されている
「アニメーション制作」に至るまでの前工程にある「営業」「ヒアリング」「企画」「構成」「台本制作」を問題なくクリアすると、制作する動画の要件を以下のようなテキストにまとめることができます。
これは理解編でも掲載した「リデル株式会社様」の実際の動画台本になります。
「質の高いアニメーション制作」をするためには上記のような「制作するアニメーション動画の要件定義」を理解した上で制作をする必要があるということです。
上記のテキストには動画台本の他に、動画制作時に参考とすべきサイトURLや、視聴者情報、サービスイメージカラーや要望などといった、動画制作に必要な情報を記載しています。
これら「台本+動画制作に必要な情報=要件定義」が、アニメーション制作をする前に理解すべき内容であるということです。
ちゃんと動画制作のディレクションや台本制作ができる人であれば、上記のような情報は伝えてくれるはずです。
もし、あなたがチームに所属していて、アニメーション制作をするための情報が不明瞭だった場合や、台本の時点でがわかりづらかった場合は、残念ながらそのチームのディレクターやライターの質が低い場合があります。その場合は、チームから離脱し、しっかりした人の元でアニメーション制作に取り組むことをオススメします。
自分1人で動画制作をしている人の場合は、まずは「ヒアリング」をできるようにしましょう。
ヒアリングに関しては、以下のヒアリングシートを基準に、動画制作に必要な質問事項を事前に考えた上で、ヒアリングに望んでください。
アニメーション制作をする上で「なぜ要件定義を理解することが大切なのか?」については、このあとの説明で理解できると思いますので、今はザックリと「要件定義って超大事なんだな」と思っていただければOKです。
「要件定義」は「質の高いアニメーション制作」をする上での土台となります。
3.アニメーション動画を構成する全ての要素が意図を持って制作されている
質の高いアニメーション制作をする上で、アニメーション動画制作者が最も責任を持ってやらなければならない仕事が「構成する全ての要素が、意図を持って制作されているアニメーション動画を作ること」です。
この教材で一番大事なことがこちらです。高単価アニメーション動画クリエイターになりたいのであれば「構成する全ての要素が、意図を持って制作されているアニメーション動画」を作れるようになる必要があります。
1つ1つ解説しましょう。まずアニメーション動画には、以下のような様々な「構成要素」が存在します。
<アニメーション動画の構成要素>
- キャラクター
- 小道具
- 使用カラー
- フォント
- 背景
- デザイン
- テンポ
- エフェクト
- BGM
- 効果音
- etc
質の低いアニメーション動画は、これらの構成要素のいずれかが「適当に」制作されています。例えば登場するキャラクターをオリジナルで制作せず、テンプレートをそのまま使ったりしている場合などが、それに該当します。
教材の案内ページに載せているこちらが「質の低いアニメーション動画」の具体例です。
「なぜこの動画は質が低いのか?」というと「キャラクターがテンプレート」「使用カラーを決めていない」「フォントがバラバラ」など多くの原因がありますが、1番の原因は「意図を持って制作されていない」という点にあります。
質の高いアニメーション動画の場合は「全ての構成要素」が「要件定義の意図に沿って」制作されています。
ここから、アニメーション制作の流れを具体的なステップに沿って解説しますので、是非参考にしてください。
ステップ1:事前に確認すべきこと
ここから、アニメーション動画制作をする上で大切なことを1つ1つ確認していきます。まずアニメーション動画を制作する際は、必ず以下のことを確認しましょう。
<事前に確認すべきこと>
- なぜアニメーション動画を作るのか?
- 納期はいつか?
- 依頼主はだれか?
- 視聴者はだれか?
- 視聴者はどのような状況で動画を見るのか?
- 視聴者は動画を見た後どうするのか?
- 何を題材とするのか?
- 動画の長さは?
- etc
これらの情報は企画・構成の仕事をする人が質問内容を考え、ヒアリングをする人が実際にクライアントに質問することで明らかになります。場合によってはこれらの情報がわからず、仮説を立てて動画制作をする場合(サンプル動画を作って営業する場合など)がありますが、いずれにせよ上記のような基本情報はどの動画を作る上でも明らかにすべき問いです。
この問いに明確に答えられない動画は、その時点で「質が低い動画であることが確定」します。
アニメーション制作者の仕事の範囲ではありませんが、超重要なので解説します。
上記の情報がなくてもアニメーション動画を作ることはできますが、正確な情報があった方がより質の高い動画を作ることができるので、可能な限り要件定義を明確にしていくようにしてください。
例えば、リデル株式会社様の動画を制作した時の要件定義の内容は、以下のような感じです。
A:企業とインフルエンサーをつなぐ、国内最大のアサイントメントサービス「SPIRIT(スピリット)」のサービス内容を理解してもらうため。
リデル株式会社様はSPIRITというサービスを運営している。企業会員数を増やしたいと考えている。そして、現状ホームページ内でサービス説明に動画を活用しておらず、文章と画像を使って説明している。仮説として「サービス内容が理解しづらい」「文章を読むのが面倒」といった理由により、離脱してる人がいると考えられる。
ようするに、現状はお客様のサービス理解が課題になっていると考えられる(=仮説)。その課題解決のためのサービス紹介動画を制作し、活用する。
リデル様に関しては、私が実際にヒアリングをし、要件定義を進めました。ヒアリングをしっかりやらないと、制作フローの後半になってから「やっぱり違う気がする」となり、失注する可能性もありますので、ご注意ください。
ちなみにこの「なぜ?」の提案が的を射ていると、相手と直接話さずとも信用し、案件を依頼していただけます。提案はリサーチ、仮説思考などにより決まります。
A:インフルエンサーマーケティングに興味がある企業の経営者や広告担当者、マーケティング担当者が想定される。
過去にインフルエンサーマーケティングを実施したことがある人も含まれる。そこまでインフルエンサーマーケティングに詳しくない人が多いと想定されるが、動画内で全てを開設するのは不可能なので、詳しい説明はお問い合わせ後に解説する。
性別は男女両方。年齢層は30代以上のビジネスマン。視聴デバイスはパソコンとスマホの両方を想定。
「この動画は誰が見るのか?=視聴者の確認」は忘れられがちですが、非常に大切です。
成果の出ないアニメーション動画は「クライアント」と「動画制作者」の間で「視聴者の存在を忘れられたまま」動画が作られることにより生まれます。
視聴者の立場になって動画を作らなければ、絶対に質の良い動画は作れないので、必ず視聴者情報は確認するor仮説を立てるようにしましょう。
A:お問い合わせをする。
基本的に1つの動画で達成できるのは1つのことだけです。
クライアントは「展示会に使いたい」「サイトにも載せたい」などと希望を伝えてきますが、そのとき「原則として1つの動画は1つの目的にしか使えません。それはなぜかというと、、、」のように解説し、クライアントの承認を得るのがディレクターの仕事です。このとき、クライアントの言いなりになり「出来もしないことを約束する」と期待値が無駄に上がるので満足度が下がります。
そして「視聴者はどのような状態で動画を見るのか?」「視聴者は動画を見た後どうするのか?」この入り口と出口を押さえることが、質の良い動画を作るために大切なことです。
通常、アニメーション制作者は、これらの動画を作るために必要な情報が全て準備された状態(実際の情報か仮説かは問わない)でアニメーション制作をします。
自分1人でアニメーション動画を制作する場合も、上記の情報をヒアリングをするか、リサーチをするか、仮説を立てるかなどして、明確にしてから動画を作りましょう。
「なぜ作るのか?」などを理解せずに動画を作るのは、目を瞑って絵を描き始めるのと同じです。質の良い動画を作りたいのであれば、必ず事前に要件を確認しましょう。
ステップ2:目的の確認 なぜ作るのか?
実際にアニメーション制作をする際は「動画制作チーム側の視点」の「要件定義」も大切になります。ということで、ここからは「動画制作チーム」の視点から「なぜ動画を作るのか?」を確認します。
要件定義によっては優先すべき事項が変わるので、しっかりと確認しましょう。
具体例:営業用サンプル動画
営業用サンプル動画とは以下のような特徴を持つ動画です。
<営業用サンプル動画の特徴>
- 動画制作チームが案件を獲得する目的で、クライアントのために無償で作る動画。それが営業用サンプル動画
- 営業用に制作する。動画を制作したからといって、報酬を得られるわけではない。ゆえに失注した場合、制作した時間は無駄となる可能性あり
- クライアントの情報を事前に知ることができる場合、できない場合の2つのパターンがある
- 紹介などにより、クライアントの情報を事前に知ることができており、その情報の角度が高い場合は、受注確率が高いため、即納品も意識した動画制作が可能
- 紹介などがなく、事前に得られるクライアント情報の確度が低い場合は、失注確率が高い。よって作り込みすぎず、時間をかけずにサンプル動画を制作する
- クライアントに直接ヒアリングせずに作るサンプル動画のため、作り直しを前提に制作する。ゆえに時間をかけずに作る
- 動画の長さは30秒から1分程度でOK。即納品を狙う場合は2分動画を作る場合もあり
まとめると、営業用動画は無償で作るサンプル動画。制作したら報酬をもらえるわけではない。ゆえに制作して失注したら無駄になる可能性がある。だからこそ、時間をかけずに制作するのが大事、という感じです。
「時間は限られている」ので要件に合わせて、質を調整しながら、柔軟にアニメーション制作をすることが大切です。
具体例:案件動画
案件動画とは以下のような特徴を持つ動画です。
<案件動画の特徴>
- クライアントのために有償で作る動画。動画を制作したらクライアントから報酬をいただけることが確定している
- 納品用に制作する。動画制作が完了したら、報酬を得られる(通常は納品の翌月末払い)
- クライアントにヒアリングをした後に制作をするため、動画制作に必要な情報を詳細まで知った上で制作することができる
- 納期が存在するため、必ず納期内に制作完了する。納期を過ぎての納品はクライアントからの信頼損失に繋がるので絶対に避ける
- 動画の要件定義に合わせて動画の質と制作速度を調整する
- 動画の長さは要件次第
まとめると、案件動画は有償で作る納品用動画。制作したら報酬を頂けるため、責任を持って制作する。納期内に制作完了するのが鉄則、という感じです。
何度でも言いますが「質が良いのは当たり前」であり「速さで信頼を勝ち取ること」が大切です。
具体例:練習用動画
練習用動画とは以下のような特徴を持つ動画です。
<練習用動画の特徴>
- アニメーション制作者が練習のために作る動画
- 制作目的を決めずに作っても、ただ手を動かしただけになるので「なぜ作るのか?」を自分で考える必要あり
- 自己採点をしても「どこが悪いのかわからない状態」になることがあるので、言語化できる人から教わった方が成長が早い
- 「制作後どうするのか?」を事前に決めた上で制作しなければ、ただ制作しただけで終わるので要注意
- 参考動画を完コピする場合は、自分の作品として公開しない
- 参考動画がある場合は、事前に「動画の要件定義」を考えた上で制作する。要件定義をわかってない動画、設定してない動画は良い動画にならないので要注意
- 納期は自分で設定した上で制作する。また、制作時間を計測することで、仕事の際にどれくらいの時間が必要かの参考になる
- 練習用動画なので、自分が練習したいシーンだけ再現するだけでもOK。無駄にフルを制作する必要はない
まとめると、練習用動画はアニメーション制作者が練習のために制作する動画。制作目的、納期、要件定義などを自分で設定し、制作することが大切、という感じです。
「他の人が制作した動画」を完コピするのは良いですが、それを「自分で制作した動画」として公開するのは当然NGです。公開したい場合は、事前に許可を取る、引用元を掲載するなど、リスペクトある対応をしましょう。過去に私の動画を完コピした方がいますが、1人は事前に連絡をした上で制作して頂いたため、添削指導をさせて頂きました。もう1人は無断で私が制作した動画をちょっとだけ変更(シーンの前後を入れ替えるだけ)し、自分で制作したかのように動画を公開していました(現在は限定公開にしています)。その方はVyondコンサルタントとして活動して「感謝!仲間!助け合う!」などとツイートし、ツイッター上では良い顔をしてますが、裏ではそういったことを平気でしています。私からの心証は非常に悪く、このように悪い例として紹介されることになってしまいます。このように対応をミスって無駄に嫌われるのは非常にもったいないです。「バレて困るのはただのパクリ」なので、そういった動画は作らないようにしましょう。
ぶっちゃけ、練習用動画はコスパが悪いので、作るのであれば「営業用サンプル動画」を作った方が良いでしょう。
ステップ3:大原則 納期はいつか?
実際にアニメーション制作をするとき、必ず確認すべきなのが「納期」です。納期のない動画制作はグダグダになりますし、仕事として動画制作をする際は必ず納期が設定されます。納期を守ることは動画制作の基本ですので、絶対に守るようにしましょう。
何度でも言いますが、納期が決まってなければ、自分で決めましょう。
納期の決め方がわからない人は、仮決めで決めておいて、自分の制作時間をストップウォッチで計測してください。そうすれば、後で納期を決めるとき、もしくは「どれくらいの時間で作れますか?」と質問されたときに、役立ちます。
面倒くさがってやらない人が多いですが、こういうところで差がつくので、やりましょう。やってください。
具体例:企業案件動画のスケジュール感
ここでは、リデル様の案件を具体例として納期に関する解説をします。リデル様の案件では以下のようなスケジュールで動画制作をしました。
企業案件スケジュール事例
- 10月12日(月):担当者様からお問い合わせ
- 11月4日(水):初回ヒアリング
- ー 初稿動画制作(中1日) ー
- 11月6日(金):初稿共有
- 11月10日(火):修正事項確認MTG
- ー 修正(中1日) ー
- 11月12日(木):第2稿共有
- 11月20日(金):台本確定
- ー ナレーション収録・アニメーション調整(中3日) ー
- 11月24日(火):プロナレーション動画共有
- 12月12日(土):納品
リデル様の案件では上記の「初稿動画制作」のフェーズで、H氏にアニメーション制作をして頂き、以下のような初稿を制作して頂きました。
このときリデル様には「11月9日(月)までには初稿を提出する」という旨を伝えていました。11月9日に初稿を提出したとしても十分早いですが、期待を上回るために、さらに早く中1日で制作し、11月6日に提出しました。
余談ですが、満足感を高めるためには、ただ早く制作するだけでなく、予告する納期に若干の余裕を持たせておく「期待値コントロール」をすることが重要です。
私は実際に納期を設定する際は「最悪でもこの期日までには共有できるだろう」という日程を共有(その日程も通常の動画制作から考えて異常に早い)し、基本はそれよりもさらに早く納品するようにしています。
企業案件の動画を制作するときに注意しなければならない点は「土日はクライアントが休みで連絡が滞る」という点です。特に中小企業や大企業などは「1週間単位」で仕事が進むことが多いので、それを見越した上でなるべく早く納品できるよう尽力することが大事です。
私はクライアントに対する返信は極力ノータイムで返信するように心がけています。それは相手のためでもありますが、突き詰めると自分のためにもなります。
理解編でも解説しましたが、動画制作事業で収入を増やすために重要な式は「収入=単価×案件数×回転率」です。多くの人は回転率を意識していませんが、ここで差がつくので「回転率」を上げていくことを目指しましょう。そのためにも日頃から1つの案件の納品までの時間は1秒でも短くすること=回転率を上げる努力をすることが大事になってきます。
動画制作の仕事をする上で、クライアントがかける時間を短くすることはとても難しいです。あくまで依頼されてる立場である以上「早く確認してもらえますか?」と催促することは失礼ですし、クライアントには別の仕事があるので返事が遅くなることは仕方のないことです。
一方で自分たちが動画制作にかける時間は「自分たちの努力だけ」でいくらでも短くできます。動画制作者として仕事をするのであれば、自分の範囲だけでも超速で終わらせられるようにしてください。
私は毎回の案件を「タイムアタック」だと思って取り組んでいます。ビビられるほど早く納品すれば、それだけ信頼されます。収益率も上がります。これを読んでる人は異常なほど時間にこだわっていきましょう。
目指すは1日1本
時間的に余裕がある人は、1日1本動画制作をすることを目標にしましょう。企業案件動画は基本的に1本1〜2分。これくらいの長さの動画であれば、頑張れば1日で制作することができます。
1日1本動画制作ができる人が1分1万円で仕事をいただければ、それだけで日給1〜2万円を達成できます。継続案件や複数案件のまとめ発注などをいただければ、早く作れば作るほどお金を稼ぐことができるので、制作効率は常に意識してみてください。
1日1本のスピードで質の高い動画を作れる人は、仕事に困ることはないでしょう。
ステップ4:登場人物の整理 だれが関係するのか?
実際にアニメーション動画を制作する上でも「だれが関係してくるのか?」登場人物の整理をしていくことが大切です。ここではアニメーション制作に関わる主要な登場人物を解説します。
「だれが関係するのか?」はアニメーション動画制作に限らず、どんな仕事をする上でも大切です。どんな人が登場するのか?それぞれの役割は何か?は常に確認するようにしましょう。
動画制作チーム
動画制作チームはアニメーション動画制作をする上で一緒に仕事をする仲間になります。アニメーション制作者が絶対に守るべきは、それぞれの仕事の役割をお互いが理解した上で、コミュニケーションはディレクターに絞ることです。
仕事の役割分担はチーム構成によって変わるので、都度確認するようにしましょう。
例えば、営業の仕事は、クライアントの情報を聞き出し(=ヒアリングをし)、動画制作に必要な情報を引き出してくることにあります。また、それだけではなく動画制作完了後の制作費支払いに関しても、営業が責任を持って達成すべき仕事の1つです。
一方でヒアリング自体は営業がやるべき仕事ですが、そのヒアリングで聞く内容を考える仕事は「企画」の仕事です。企画を考える人は「動画を活用して、どのような課題を解決するのか?」という広い視点からヒアリング内容を考えます。
アニメーション制作の過程に至るまでに、営業、企画、構成、台本制作などの仕事がありますが、これらは1人の人が複数担当してることが多いです。
そして、アニメーション制作者が仕事をする際は、上記の人たちと直接連絡することはありません。実際はディレクターとやりとりをすることになります。
複数の人が一緒に仕事をする際は、ディレクターが指揮をするので、基本的にアニメーション制作者は困ったことがあればディレクターに話を聞くことになります。
このとき、アニメーション制作者がディレクターを飛ばして、直接営業や企画に話をすると「情報伝達にミスが生じる可能性がある」ので絶対にやめましょう。
アニメーション制作者は動画制作をする上で不明な点があったら、原則としてディレクターに確認するようにしましょう。
視聴者
アニメーション動画を制作する際、アニメーション制作者が絶対に忘れてはならない登場人物が「視聴者」です。
質の低いアニメーション動画は「視聴者」が忘れられていることが多いです。アニメーションの出来は「視聴者のことをどこまで想定できているか?」で変わるので、しっかりと把握しておきましょう。
視聴者は基本的に、以下のような特徴があります。
<視聴者の特徴>
- 視聴者は基本的に1回しか動画を見ません。だからこそ、1回見ただけで理解できるわかりやすい動画が求められます
- 視聴者は集中した状態ではなく、ボーッとした状態で動画を見る可能性が非常に高いです。そのため簡潔な表現が求められます
- 視聴者は最初の5〜10秒で離脱することが多いです。そのためターゲットとなる視聴者が離脱しないように、導入部分をこだわることが大切です
- 視聴者はテンポの悪い動画を見ません。テンポの悪い動画だと、途中で離脱するか、飛ばしてみます。だからこそ、0.1秒にこだわるテンポの良い動画が求められます
- 視聴者は長い動画を見たいと思っていません。動画は短ければ短いほど良いです
上記のような、全ての動画に共通する視聴者の特徴を把握した上で、さらに制作するアニメーション動画ごとの視聴者を理解することが大切です。
「だれが見るのか?」を意識せずに制作して、質の良い動画は作れません。徹底的に視聴者のことを意識した動画を作りましょう。
具体的には、年齢は?性別は?職業は?悩みは?どこで見る?PCで見る?スマホで見る?1人で見る?だれかと見る?音は出す?無音?何経由で見る?見た後にどうする?などといった問いに対する答え(事実or根拠のある仮説)を知る必要があります。
これらが明確であればあるほど、質の良い動画が作りやすいです。逆に、これらの情報がない、仮説も立てられない場合は、動画が作りづらいですので、ディレクターに確認するようにしましょう。
具体的な視聴者像が思い浮かべば、アニメーション制作をするときに「どんな表現をすれば良いのか」も考えやすくなります。
クライアント
アニメーション制作をする際、決裁権を持つのがクライアントです。そのため「最終的にどのような動画を作るのか?」はクライアントの判断により決まります。
クライアントの意向に関しては「要件定義」の項目で既に明らかになっているはずなので、そこをきちんと理解した上で動画制作をしましょう。
ステップ5:事前リサーチ
アニメーション制作をする際は、しっかりと制作する動画のテーマを「理解」してから制作するようにしましょう。
台本の確認
アニメーション制作をする際は、基本的に以下のような「台本の確認」をすることになります。(台本の形式は人によって違いますので、ご了承ください
このとき大切になってくるのが「リサーチ」です。企業案件の場合は基本的に「自分が知らない企業」「自分が知らない業界」の動画を制作することになります。
そのとき「教えてもらわないとわからない」「知らないから作れない」では、アニメーション制作の仕事を進めることができません。大抵のことは調べればわかるので、リサーチ癖をつけるようにしましょう。
具体的に解説します。
理解を目的とした「事前リサーチ」
まず確認すべきは、ディレクターが共有してくれた参考サイト、参考情報などです。これらのサイトは最低限目を通すようにしましょう。
私がディレクターとして上記のような台本を共有した際は、アニメーション制作者が参考サイトに目を通すことを前提としています。
基本的には、それだけでは理解が甘くなることが多いので、自分の前提知識に合わせてリサーチをするようにしましょう。
<検索ワードの事例>
- 「会社名」→クライアントの基本情報を理解するために検索。見るサイトは基本的に企業の公式ホームページ
- 「サービス名」→サービスの基本情報を理解するために検索。見るサイトは基本的に企業の公式サービスサイト
- 「商品名」→商品の基本情報を理解するために検索。見るサイトは企業の公式サイトおよび商品販売ページ。口コミやレビューがあればそちらにも目を通す
- 「専門用語」→その業界の専門用語で意味が理解できないものがあれば、その都度検索して理解を深めましょう
検索をする際は、公式情報ではなく第三者によって書かれたニュース記事なども非常に参考になります。
ニュース記事に関しては「会社名」でGoogle検索をし「ニュース」と書かれたタブを選択することで見ることができます。
それ以外にも「画像」タブを検索して、アニメーション表現のイメージを膨らませることも有効です。
台本だけを見てアニメーションを作ることは不可能なので、しっかりと参考サイトを読み込んで、周辺情報を理解した上で制作するようにしましょう。
台本を読み、参考サイトを見ても、不明点がある場合はディレクターに確認をとってください。
参考サイトを見ながら大枠のシーン展開を考えつつ、リサーチしながらアニメーション制作をする流れですね。
素材収集を目的とした「商品/サービスリサーチ」
動画制作をするときは「クライアントからいただいた資料」を読み込むことは当然として、自ら「商品/サービスリサーチ」をすることも大切です。
私は最低でも
・企業ホームページ
・商品/サービス紹介ページ
はチェックするようにしています。
必要であれば、顧客向けの説明資料などをいただく場合もあります。
「なぜ商品/サービスリサーチをするのか?」というと動画で使える「素材」を見つけるためです。素材は用意してもらうものではなく、自分で探し出すものという認識ですね。
動画素材を見つけるために、必ず商品/サービスリサーチをしてください。
ちなみに私は動画を制作するとき事前にクライアントから「素材」を提供していただくことはほとんどありません。
ここだけの話「企業ロゴ」ですら提供していただくことはほとんどなく、企業ホームページに掲載されている画像をスクショまたは右クリックで保存してPhotoshopで背景を透過させて使用しています。
「なぜ素材を提供してもらわないのか?」というと「時間がかかるから」です。「クライアントに素材を提供してもらう」ということは、言い換えると「クライアントに動画で使いそうな素材を探してもらい、用意してもらい、送ってもらうこと」になります。
制作前の素材提供はクライアントからすると非常に面倒であり、返信が来るまでに1週間以上、下手したら1ヶ月以上かかることもあります。
また、せっかくクライアントに素材を用意していただいても「動画に使用することが難しい」となってしまう可能性もあります。
そうなった場合、クライアントからすると「あんなに時間をかけて素材を用意したのに、結局使わないのかよ」とマイナスの感情が発生します。
ようするに「素材提供」を前提にすると「工数」が増えてしまい納品までのスケジュールが遅くなってしまうということです。実際、どの企業も「サイトや資料に掲載されてる画像やイラストの元画像がどこに保管してあるのか?」を分かってない人の方が多いです。
そのため、私はアニメーション制作をする際、出来るだけ早く納品するためにも「動画で使用する素材」はこちらで用意し、初稿で「クライアントに確認」していただきます。
そのときに「画素が悪い」や「違う画像を使って欲しい」という要望があったら、そこで初めて「もし希望であれば、代わりとなる画像をご用意ください」と伝え、クライアントに素材を提供していただく、という流れです。
「工数」が増えると「納品までのスケジュールが遅くなる」だけでなく「クライアントの負担」も増えてしまいます。
次の依頼に繋げるためにも、できるだけ「クライアントの負担」を減らし「こことの動画制作はスムーズだった!」という印象をもってもらいましょう。
ということで、アニメーション制作者はクライアントのサイトや資料をリサーチして、そこにある素材を拝借してアニメーション制作を進めてください。
表現手法の収集を目的とした「Pinterestリサーチ」
質の高いアニメーション制作を進めていくためには、いきなり制作を始めるのではなく「表現手法の収集を目的とした下調べ」をすることが重要です。下調べをすることで、表現の引き出しが増えていくので、地道に増やしていきましょう。
動画を最短で作成するためにも「下調べ」はしっかり行ってください。
デザインの引き出しを増やすには「Pinterest」は欠かせないツールの1つです。デザインに対する目を養うためにも、様々なデザインを自分の目で確認してみてください。
アプリ版をスマホにダウンロードして、子育てや家事のスキマ時間に気になったデザインをどんどんストックしています。
「Pinterest」は「表現の引き出し」を増やすための必須アイテムです!
表現のストックを増やしていくことで、マンネリ化を脱却することができますよ。
表現手法の引き出しを増やす
「Pinterest」は「画像を検索し、ブックマークできる」ツールです。
自分でカテゴリ分けした「ボード」に対象の画像を「ピン(ブックマーク)」することで、自分だけのオリジナルのデザインのネタ帳ができるだけでなく、「その他のアイデア」として、関連画像を表示してくれる機能がついているので、芋づる式にどんどん参考画像をストックすることができます。
ここだけの話、ほかの人のVyondを参考にするよりも、こうやってPinterestを活用した方が、表現スキルが上がっていきますよ。
参考になる動画をストックする
「Pinterest」には日本の動画だけでなく、海外の動画も表示されます。
動画をストックしておくことで、いざ動画制作に取り掛かるときに「あ!あの動画の表現が使えるかも!」と自分の中の「表現の引き出し」として使うことができるので、ぜひ使いこなしていただきたいツールです。
「どんなアニメーション表現がわかりやすいか?」、「どんな色合いが印象に残りやすいのか?」などを考えながら動画をどんどんストックして「表現の引き出し」を増やしていきましょう。
顧客満足度を上げる「クライアントリサーチ」
属人性の高い商品/サービスの場合、「代表者」が商品やサービスの顔となっている場合があります。そのような企業の動画を制作する際は、スタイルをビジネスフレンドリーにし、代表者をキャラクターとして再現できるようにしましょう。
具体例を上げると、アパホテルは社長が前面に出て認知を取りにいっている企業と言えます。
このような企業の動画を作る際、「実際に代表者を前面に出すかどうか?」は要件定義によって変わりますので、事前に確認を取るようにしてください。
そして、代表者をキャラクターとして再現する際は、クライアント情報を深く調べ、細部まで表現できるようにしましょう。
具体的にはSNS(Facebook/Twitter/Instagramなど)やGoogle画像検索(クライアント企業の代表者の氏名、企業名など)を使って徹底的にリサーチを行います。
リサーチをする際は代表者の「好み」を理解しましょう。「何色が好きか?」「どんな服装をしてるのか?」「小物は何を身につけているのか?」などをSNSや画像検索を駆使して調べます。
好みを理解したら、代表者に似たキャラクターを作成できるので、そのキャラをアニメーション動画の説明キャラとして登場させたりします。
クライアントに直接ヒアリングせずに再現することで「わざわざ調べて再現したこと」が相手に伝わりますので、喜ばれますよ。
ステップ6:動画デザインの設計
ここまで長々と事前確認をしてきましたが、ここから具体的なアニメーション制作の話をしてきます。
スタイルを確認する
Vyondには「ビジネスフレンドリー」「ホワイトボードアニメーション」「コンテンポラリー」の3つのスタイルがあります。
基本的にスタイルを決める際は「キャラクター(人物)のスタイル」をメインに決めてます。スタイルを決めるのは企画の仕事です。
企業案件では「属人性の高い案件」では「ビジネスフレンドリー」、「企業研修用動画」では「ホワイトボードアニメーション」、「サービスなどの紹介」では「コンテンポラリー」とそれぞれの案件の特性によってスタイルを決めています。(1つ1つの動画制作案件に合わせてしっかり考えることが大切です
ちなみに登場キャラクター以外の小道具などに関しては、スタイルは気にせずに使用(キャラクターがコンテンポラリーの動画で、ビジネスフレンドリーの小道具を使うなど)します。小道具は画面内に違和感ないかを確認しながら、柔軟に活用していきましょう。
アニメーション制作者は企画が決めたスタイルを確認し、それをもとに動画制作をすることになります。
アニメーション制作者は「なぜ、そのスタイルになっているのか?」意図を理解した上で制作するようにしましょう。とにかく質の高い動画を作るためには「動画制作の意図」が「要件定義」に「沿っているか?」が大切です。
使用カラーを決める
アニメーション制作をする冒頭に決めるべきが「使用カラー」です。
質の高いアニメーション動画を制作したいのであれば、事前に「何色を使うのか?」使用カラーを決め、それ以外の色は使わずにアニメーション制作をしましょう。
私が企業案件動画を制作する際はメインカラー1色のみ決めておいて、残りの使用カラーはアニメーション制作者に任せています。
使用カラーは「動画を作り始める前」に決める
動画を作り始める前に「制作するアニメーション動画の要件定義」に沿って、「メインカラー」「サブカラー」を決めておきます。
決めた色は、以下の画像のように「QUICK ACCESS」に設定しておきましょう。
私は色を決めるときはこちらの配色の本を参考にしています。電子書籍版ではなく書籍版の方がペラペラめくって確認できるのでオススメです。
クレメア
使用カラーは動画のクオリティを左右する大切な要素の1つです。アニメーション制作をしながら「なんとなく」で色を決めてしまうと「統一性」がなくなり「ダサい」動画となってしまいます。
使用カラーは事前に決めて、統一感のある動画を作れるようにしましょう。
例えばマクドナルドは「赤、黄色」、ポカリスエットは「青」などと、私たちの脳内には「企業」や「商品」は「ブランドカラー」とともに刷り込まれています。
クライアントの「ブランドカラー」をメインカラーとして使用することで、たとえ「ボーッと見ていてもブランドの印象が残る」動画を作ることができます。
もし、「ブランドカラー」と全くかけ離れたカラーを使用してしまうと、ブランドのイメージを崩しかねないので注意が必要です。
「クライアントの満足度の高い動画」を作るためにも「ブランドカラー」を押さえることは必須です。
掲載場所で使用しているカラーの確認
使用カラーを決める際は「動画掲載場所」も確認しましょう。動画掲載場所のサイトメインカラーが水色だけど、動画内では赤をメインカラーにすると「掲載場所にマッチしない動画」が出来上がります。
もし、ディレクターが指定したメインカラーが掲載場所にマッチしない場合は「掲載場所とマッチしてませんが、大丈夫でしょうか?」と確認を取ると良いです。
掲載場所のカラーまで配慮した配色で制作することで、より統一感のある完成度の高い動画を制作することができます。
ここまで配慮できるアニメーション制作者だと「あなたに作って欲しい」と指名で仕事が入ってくるレベルになりますね。
文字色:真っ黒は避ける
初心者は文字色に真っ黒(#000000)を使いがちですが、色が強すぎるので避けた方が良いです。私は濃いグレー(#333333、#282828、#555555など)を使用しています。
文字色は濃いグレーを使用
>文字色を濃いグレー(# 555555)にする
文字色を少しグレイッシュにすることで雰囲気も柔らかくなり「メインカラー」との親和性が高くなります。
>文字色を黒(# 000000)にする
文字の色を真っ黒に設定すると「黒」の印象が強く出過ぎてしまうことがあります。
原色カラーを使うと色が強すぎて、品がなく見える場合が多いので、調整するのがオススメです。
使用キャラクターを作る
使用カラーを決めた後にやるべきは「キャラクター制作」になります。ここで大事になってくるのが「必ずオリジナルキャラクターを作ること」です。
Vyondには1300種類以上の既存キャラクターがありますが、質の高い動画を作りたいのであれば、キャラクターをカスタマイズして、オリジナルキャラクターを作りましょう。
A:ダメです。必ずオリジナルキャラクターを作りましょう。
既存キャラクターは動画の世界観からずれてしまっている(服装や髪型、色合いなど)ことがほとんどです。企業案件動画を作る際は必ず「オリジナルキャラクター」を作成しましょう。
案件ごとにキャラクターを作成することは「面倒くさい」と感じるかもしれませんが、「面倒くさいと感じることを実践する」ことこそが「高単価Vyond動画クリエイター」への近道です。必ず実践しましょう。
「面倒くさい→やらない」これはお客様思考の人がやることです。仕事は面倒くさいことだらけです。面倒くさいことをやるからお金をもらえます。自分の仕事の範囲内のことは、面倒くさくてもやってください。
A:アニメーション制作を始める前です。
使用キャラクターを作るタイミングは「アニメーション制作を始める前」に全て制作しましょう。
実際に企業案件動画を作る際は、まず「台本」からアニメーションの「登場人物」を洗い出し、はじめに「全ての使用キャラクター」を作成してから「アニメーション制作」にとりかかります。
アニメーション制作を始める前に「動画の核」となる「使用キャラクター」「使用カラー」を明確にしましょう。
はじめに「動画の核」の部分を決めることで「動画の世界観」も乱れにくくなり、全体に統一感が生まれます。
使用キャラクターは見た目を良くしよう
使用キャラクターを作る際は「見た目を良い感じにすること」が大切です。ダサいキャラクターが登場すると、動画自体もダサい雰囲気になります。
髪型や服装をオシャレにしたり、体型をスマートにすることで、動画全体の雰囲気もオシャレでスタイリッシュになります。
キャラクターメイクで迷ったときは「Googleの画像検索」で検索をすると、いろいろな年齢、職業で働く人のファッションが見れるのでオススメですよ。
特にビジネスフレンドリーで動画を作る際は、キャラクターの目や鼻などを細かくいじれるので、見た目をよくすると良いです。
コンテンポラリーで制作する際は、ファッションや髪型で差をつけましょう。
例えば、リデル様の動画は「インフルエンサー」がテーマなので、登場人物も「オシャレな人」を意識して「雑誌やインスタグラムで実際のインフルエンサーの人をチェック」し、ファッションを参考に制作しました。
使用する背景パターンを決める
アニメーション動画を制作する際は、背景を決める必要があります。ここでは質の高いアニメーション動画を作る上で、よく使う背景パターンを紹介します。
パッと見で良い感じの動画を作れない人は、背景が「ベタ塗り一色」になってる場合や、ごちゃついてる場合が多いです。
この章を読み、質がよく見える背景パターンを理解し、動画に活用してみましょう。
背景パターン
>実写画像
背景にリッチさを出したいときは「実写画像」を活用することがオススメです。具体的に設定する際は「実写画像をOPACITY(不透明度)60%で設定」することで簡単に設定できます(不透明度の数値は画面を見て合わせながら調整してください)。実写画像を使用することによって、視聴者によりリアルなシーンを想像してもらうことができます。
実写画像背景の派生パターンとして「実写映像を不透明度を調整して流す」というパターンもあります。
>パターン画像
抽象的な背景を使ってリッチ感を出したい場合は、動画内で使用しているカラーと同じ配色パターンを使用した「幾何学模様のパターン画像」を使うのがオススメです。パターン画像のOPACITY(不透明度)は10%程度で設定しましょう。
背景を「白」や「ベタ塗り」にして「リッチ感」が失われて困っているときに有効なテクニックです。
この方法は配色パターンを守ることで、動画全体の親和性を保つことができる点も優秀です。
>場面設定
Vyond既存の背景を使用するときは「ビジネスフレンドリー」ではなく「コンテンポラリー」の素材を使用しましょう。「ビジネスフレンドリー」の背景素材は使用してるカラーが多いため、動画の世界観が崩れてしまう可能性があります。一方「コンテンポラリー」の背景素材は「単色」かつ「色の設定」も可能であるため、動画の世界観を崩しにくいです。
上記で紹介した「背景パターン」は全て「1つの動画の中」で使用しています。
様々な背景パターンを駆使し「視聴者が飽きにくい」「リッチ感のある」動画を作りましょう!
コラム:統一感を出す方法
制作する動画の質を上げるためには統一感を意識した動画を作ることが大切です。「統一感はどのように生まれるのか?」というと「要件定義に沿った動画を作ること」で生まれます。※要件定義に統一感がないと、統一感は生まれないのでご注意ください
具体的には、制作する動画の要件定義をしっかりと理解し、テーマにあった色や小道具などを使用することで、視聴者から見て統一感のある動画を作ることができる、という感じです。
言葉だけだと理解しづらいと思いますので、具体例を見ていきましょう。
「キャラクターの小物」に「動画のメインカラー(またはサブカラー)」を取り入れる
キャラクターを作成する際に「キャラクターの小物」に動画の「メインカラー(またはサブカラー)」を取り入れることで、動画に統一感を出すことができます。
上記の動画では、企業カラーである「緑」をメインカラーとして使用しています。
そのため、「女性キャラクターのピアス」や「男性キャラクターのネクタイ」にはメインカラーと同じ「緑」を使用。男性のスーツには「濃い緑」を使用することで、動画の世界観にキャラクターを自然に馴染ませることができます。
説明を読む前に、ピアスやネクタイの色に気づいてる人はいないと思います。ですが、1度説明されたら「確かに!」となるでしょう。
デザインはこの「見る目の細かさ」を養っていくことで改善されます。目が肥えていくのが先で、その後に作れるようになります。
これくらいの目の細かさでアニメーション制作をすることで、質の高い動画を制作することができます。
例えば、上記の飛山様の動画のような「属人性が高いサービス」ではあえてキャラクターを引き立たせることがあります。
一方、HARVEST様のような「サービスをよりわかりやすく伝える」ための動画では、キャラクターが動画内で浮いてしまうことがないよう「キャラクターの小物」に動画の「メインカラー(またはサブカラー)」を取り入れて、細かいところまで丁寧に作り込んでいます。
大切なことは何も考えずに色を揃えるなどのテクニックに走るのではなく「要件定義」に合わせて動画を制作することです。制作意図がない動画=要件定義を無視した動画は、質の良い動画にならないのでご注意ください。
飛山様の動画は、美容室オーナー様向けの動画なので、背景に美容室関連の小道具を配置しています。
「なぜ、この色、この小道具を置いているんですか?」と聞かれたときに「今回の動画は美容師向けに作っており〜」のように制作意図を解説ができると、安定感のある高単価動画クリエイターになれますよ。
コラム:絵コンテは描かないの?
「絵コンテは作成していますか?」と質問をいただくので、答えを記載しておきますが、私のアニメーション動画制作チームでは絵コンテを描いていません。
理由は「Vyondを活用したアニメーション制作は修正コストが重たくないから」です。
手描きのアニメーションを作る場合や、映画の撮影をする場合などは、ミスをした時の「描き直し」や「再撮影」のコスト=「修正コスト」が非常に大きいです。そのため「絵コンテ」で事前に構図や動きなどを確認します。私も「修正コストが高い行動をする前」であれば「絵コンテを描く」などといった事前の下書きや設計などを念入りにするでしょう。
一方でVyondは修正が容易です。キャラクターの修正やシーンの追加にかかる工数が多くありません。そのため、私は絵コンテを制作せず、台本を書いたらそのままアニメーション制作者に制作を依頼しています。
今は絵コンテを描いていませんが、必要性を感じたら、そのときは絵コンテのフローを導入するでしょう。
ステップ7:シーン作成
まず、シーン作成をする上での必須のスキルは「デザイン」です。具体的にいうと「デザインの基本4原則」=「近接」「整列」「反復」「対比」を抑えましょう。
「デザイン 4原則」についての解説は、検索すれば死ぬほどたくさん出てきますので、そちらをご覧ください。
デザインは「目」から肥えていきます。
日々の生活の中で「このデザインはいい!」「なんでこのデザインは目を引くのだろう?」と意識して、少しずつ自分の中にあるデザインの引き出しを増やしていきましょう!
それらを踏まえた上で、実際に企業案件動画を制作する中で、私が「品質管理者」として具体的にチェックしていくポイントを解説します。
これから説明するポイントはアニメーション制作者として「できて当たり前」な部分です。高単価アニメーション動画クリエイターになりたい人は、必ずできるようにしましょう。
余白:デザインは引き算
読みやすく、わかりやすい動画を制作したいのであれば「余白」を意識した動画作りをしましょう。
シーン制作をする時、余白を意識していますか?上下左右の余白のバランスを意識して調整していますか?
余白を意識してない人の動画は、ダサく、初心者っぽくなります。逆に言えば「余白」をうまく活用するだけで良い感じの動画を作ることができるので、ぜひ意識してみてください。
「余白」をうまく活用する
>余白あり
こちらは「文字の大きさ」が「読める程度の大きさ」であり、かつ「余白」があって読みやすくなっています。
>余白なし
一方でこちらは「文字は大きい」ですが「読みにくく、ダサいイメージ」になっています。
「余白」がなく窮屈に見えるデザインからは、どことなく初心者っぽくなってしまいます。
逆に言うと「余白」をうまく使いこなせれば、自然とクオリティの高い動画となるので、ぜひ意識しましょう。
動画制作初心者は、余白があると情報を詰め込みたくなる傾向にありますが、デザインは引き算で決まります。
詰め込んで不安を消そうとするのではなく、必要最低限の素材でわかりやすい動画を制作するよう心がけた方が、オシャレで統一感のある動画になり、クライアントにも喜ばれますのでオススメです。
品質管理者の視点で見ると「余白を活用してる人=目が細かい人」であり、他の部分も丁寧に作ってることが想像できて、チェックする時間も減らせるので非常に助かります。
整える:「ズレ」と「ズラし」の違い
動画制作初心者が作る動画が「なぜかダサい、違和感がある」と感じる理由の1つとして、画像がバランスよく配置されず、ズレて配置されていることがあります。
「ズレがある」ことと「あえてズラしてる」は全く違います。初心者はまず「ズレをなくす=整える」ことを意識して動画制作をしましょう。
画像をバランスよく配置する
>ズレがない
こちらは「3つの要素」の「左右の余白」が「バランスよく」配置されています。上下の余白がズレている(撮影スタッフが少し上部に配置されている)のは、画面上に動きを出すためです。白い雲の中に配置されている文字も中央に配置されています。
「整える」という基本があって初めて「ズラし」が生きてきます。まずは「整える」を覚え、それから「ズラし」を活用していきましょう。
>ズレがある
こちらは「3つの要素」の「左右の余白」が「バラバラに」配置されています。「白い雲の中に配置されている文字」もズレており、よく見ると「下のテロップの位置」も「少し上側」になっており「右の余白が狭く」なっています。(気がつきましたか?
初心者のうちは気づかないかもしれませんが、目が育ってくるとすぐに「違和感」に気がつけるようになりますよ。
大事なところなので、細かく解説しますが「ズレ」と「ズラし」は違います。
この記事の冒頭で「質の高い動画の条件」の話をした時に「質の高い動画」は「アニメーション動画を構成する全ての要素が意図を持って制作されている」と解説しました。質の高い動画を作るには、この「意図」が大事です。ものすごく大事です。
「ズレ」には「意図」がなく、「ズラし」には「意図」があります。
「意図を持ってるとはどういう状態か?」というと「なぜそうしてるのか、理由を説明できる状態」です。
例えば、先ほどと同じこちらの画像。
こちらを見たクライアントから「なぜ、撮影スタッフだけ上にズレてるんですか?」と言われた時に、2つの対応パターンがあります。
- 「あ、本当ですね。すぐに直します」と対応するパターン。
- 「こちらは動きをつけるためにズラしています。気になるようでしたら他の2つと同じ高さにしますが、どうされますか?」と対応するパターン。
多くの低単価動画クリエイターは①の対応をしています。本人からすると「クライアントの要望に答えてるからオッケー」と思うかもしれませんが、何もOKではありません。むしろ、NGです。
「それはなぜか?」というと「意図を解説できていないから=単なる過失になるから」です。意図が解説できない場合は、文字通り「ズレてしまっている状態」です。つまり「ズレたままの動画をクライアントに見せ、それを指摘されてる状態」であり、単なる「過失を指摘された状態」ということになります。そのような動画クリエイターは信頼されず、低単価のままでいることは当然です。
「意図を解説できない動画クリエイター=付加価値をつけられない動画クリエイター」であり、言われたら直すだけの人は「ただの指示待ちオペレーター」です。クリエイターではありません。
言われた通りに動画を作るだけの人は、動画クリエイターではなく動画オペレーターです。そのような人に高い報酬を払う人はいません。
もし、あなたが高単価アニメーション動画クリエイターになりたいのであれば、制作する全ての動画、全ての要素について②のような対応をできるようにならないといけません。意図を持って制作をすれば、仮にクライアントから指摘されたとしても「こういう意図があります」と説明でき、そうすることで「あ、この人は考えて制作をしているのか」と理解し、価値を感じていただけます。
指摘された時「デザインの4原則に基づき、このように配置しています」と説明できる人と「あ、、、えーっと、、」という人では、価値が違うということですね。
余談ですが、要件定義の中で「シンプルでスタイリッシュな動画にして欲しい」という要件があった場合は、このような「動きを出すためのズラし」は控えた方が良いでしょう。
ということで、高単価アニメーション動画クリエイターになりたい人は「全ての構成要素が意図を持って制作されているアニメーション動画」を作れるようにしましょう。
「整える」はデザインの「基本」であり、これを押さえるだけでも「素人っぽい雰囲気」から脱することができます。
画像のバランスを意識しながら作り込んでいきましょう!
被り:奥行き(Z軸)への配慮
アニメーション動画を制作する際、奥行き(Z軸)を意識していますか?
「Vyondは2Dアニメーションで奥行き(Z軸)がない」と思われがちですが、そんなことはなく「奥行き(Z軸)が存在」します。
奥行き(Z軸)に配慮した動画を制作することで、より統一感のある表現ができますので、ぜひ意識していきましょう。
要素の「被り」を意識する
>被りがない
こちらは全てのキャラクターを「Bring To Front」で最前面に指定して配置しており、背景のピンクのラインと黒いラインの前面にキャラクターが出ていることがわかります。
キャラクターを前面に出すだけで、画面に立体感が生まれています。
>被っている
こちらは「男性キャラクター」に「装飾のキラキラ」が被っていたり、「背景のピンクのライン(下部)」が「キャラクターの前面」に出ています。
あえて被らせている「合理的な理由=制作意図」があるなら良いですが、制作意図がないのであれば修正しましょう。
どのようなアニメーション動画を制作するにせよ、大切なことは「制作意図を持って制作すること」です。意図なき制作は「思いつきで、それっぽい感じにしてるだけ」であり、質の高い動画にはなりませんのでご注意ください。
制作した動画は提出する前に何度も何度も見返して、細部までチェックしましょう。
エフェクト設定:シンプル is ベスト
質の高いアニメーション制作をする場合、基本はシンプルなエフェクトを使用しましょう。見た目が派手に見えるエフェクトは、効果的に使うのが難しいので、まずはシンプルなエフェクトを使いこなせるようにし、それからワンポイントで派手なエフェクトを使うのがオススメです。
参考までに、私が制作する動画でよく使うエフェクトを紹介します。
<よく使うシンプルなエフェクト3選>
- Pop
- Slide
- Instant
私が制作する企業案件動画のエフェクトは上記3つが8〜9割を占めています。
動画初心者は派手なエフェクトを使用する人が多いですが、企業案件動画には不向きなことが多いです。
まずはシンプルなエフェクトを活用して、スタンダードな動画を制作できるようにしましょう。
視線誘導:飽きさせないカメラワーク
ステップ4で視聴者には以下のような特徴があると解説しました。
<視聴者の特徴>
- 視聴者は基本的に1回しか動画を見ません。だからこそ、1回見ただけで理解できるわかりやすい動画が求められます
- 視聴者は集中した状態ではなく、ボーッとした状態で動画を見る可能性が非常に高いです。そのため簡潔な表現が求められます
- 視聴者は最初の5〜10秒で離脱することが多いです。そのためターゲットとなる視聴者が離脱しないように、導入部分をこだわることが大切です
- 視聴者はテンポの悪い動画を見ません。テンポの悪い動画だと、途中で離脱するか、飛ばしてみます。だからこそ、0.1秒にこだわるテンポの良い動画が求められます
- 視聴者は長い動画を見たいと思っていません。動画は短ければ短いほど良いです
上記のような特徴を持つ「飽きやすく」「離脱しやすい」視聴者に対して、効果的な表現手法が「カメラワーク」を駆使した「視線誘導」のテクニックです。
動画制作初心者の人はカメラワーク機能を面倒くさがって使いませんが、絶対に使うべき機能の1つです。カメラワークで視線誘導をするだけで、動画の印象がガラリと変わるので、是非使ってみてください。
視聴者を飽きさせないためには「画面内が静止画状態になってるシーンをなくす」のが有効ですが、カメラワーク機能を使うと「強制的に動きが加わる」のでオススメです。
カメラワークで「視線誘導」をする
>視線誘導をしている
こちらは視聴者の視線をカメラワークで誘導している動画です。「人の顔」への「寄り」→「全体」への「引き」という順番でカメラワーク機能を活用し、視線誘導をしています。このように視線誘導をすることで「思わず見てしまう動画=離脱率の低い動画」を作ることができます。
カメラワークの寄り引きの中で、最も強力なのが「人の顔」への「寄り」です。「人の顔」への「寄り」は「離脱率を下げる」ので、自然に入れられる場面があったら、入れておきましょう。
余談ですが、広告などで「単なる女優の顔アップの広告」が多いのは、効果が高いからですね。
>視線誘導をしていない
こちらは上記と同じ動画で「カメラワーク機能をオフにした動画」です。視線誘導をなくすと、画面上のダイナミックな動きが無くなり、どこを見て良いかわからず、注意力が散漫した状態になるのが理解できると思います。
パッとしない動画も「カメラワークで視線誘導をするだけ」で良い感じになる場合がありますので、是非活用してみてください。
カメラワークを活用した視線誘導は、みなさんが普段見ている動画でも確実に使われているテクニックです。自分が好きな動画や気になった動画で「どんなカメラワークが使われているか?」をチェックしてみてください。
カメラワークに着目して動画を見ると、新たな発見があって面白いですよ。
コラム:リッチ感を出す方法
企業案件動画を制作する場合は、ある程度「リッチ感」を出すことが大事になってきます。とはいっても、アニメーション動画を制作すると、なんだか軽くなってしまい、チープな雰囲気になってしまうことが多いでしょう。
ということで、今回は、実際に私のアニメーション動画制作チームが案件動画を制作する時に頻繁に活用してる「リッチ感を出す方法」を紹介します。
「自分で見た時には気がつかないけど、言われたら分かるレベル」のこだわりを持って制作すると「なんかすごい」と思われる動画を作ることができます。
細部の違いが全体の雰囲気を変えますので、ぜひ活用してみてください。
テクスチャを使う:質感によるリッチ感
動画の背景にテクスチャを使用することで、動画に「質感」が生まれ「リッチ感」がでてきます。
テクスチャは質感を変えたいときに活用するのがオススメです。
動画の背景にテクスチャ画像を使用する
上記の動画では、「白の背景」の上に「ホワイトペーパー」のテクスチャ画像を1枚置いています。「白の背景」だけと比べると、テクスチャの画像を1枚置くことで「質感」がでてきます。
「ホワイトペーパー」のテクスチャ画像をそのままだと「質感」が出過ぎてしまうので、今回は「OPACITY(不透明度)30%」に設定して使用しています。
企業案件動画の場合は、その企業とゆかりのあるテクスチャを使うことで、統一感のある仕上がりになります。
背景に「幾何学模様」や「水彩」など使ってもおもしろいので、ぜひ色んなパターンを試してみてください!
影を作る:立体感によるリッチ感
キャラクターや枠や吹き出しなどに影をつけることで「立体感」が生まれ「リッチ感」がでてきます。
影は立体感を変えたいときに活用するのがオススメです。
キャラクターに影をつける
こちらの動画では男女のキャラクターに白い影をつけています。Vyondのキャラクターは平面感が強いですが、影をつけるだけで立体感が生まれ、リッチ感が出てきます。
影の作り方は、以下の通りです。
①影をつけたいキャラクターを決める
②「Vyond Character Creator」で影をつけたいキャラクターをコピーする
③キャラクターのカラーを全て影の色に設定する
(上記の画像は白(#FFFFFF)で設定しています)
影は白、黒、灰色だけでなくメインカラーの同系色で設定してもインパクトが出るので、いろいろ試してみましょう。
枠や吹き出しに影をつける
「サービスの紹介画面」は「白背景」であることが多いのですが、動画の背景が白が基調の場合、画像が目立たず伝えたい情報が伝わらない可能性があります。
そのため、画像を強調するためにメインカラーの長方形(rectangle)を「OPACITY(不透明度)50%」に設定して、画像の後ろに置いています。
また、上記の画像の動画はクライアントから「シンプルに」というご要望があり、そのため多くの色を使用するのではなく「白を基調に、影もメインカラーの緑を使う」というデザインで制作を進めました。
何度でも言いますが、大事なことは「要件定義」に合うアニメーション動画制作をすることです。
何も考えずに思いつきで動画制作をすると、統一感がなくなり、クライアントが希望しない動画が完成するリスクが高まりますので気をつけてください。
脱Vyond:外部素材を駆使したアニメーション表現
Vyondで制作されたアニメーション動画はYouTubeの「スカッとLINE系動画」や「書籍紹介系動画」、「YouTube広告動画」などでよく見かけるようになってきています。
それらの動画の影響もあり、Vyond内のアニメーション表現だけを使用した動画は「チープな動画」に見られがちです。
特に「ビジネスフレンドリー」を活用した動画は、様々な動画で使用されているため「視聴者に飽きられる」のも、そう遠くはないでしょう。
そこで有効なのが「外部画像を駆使したアニメーション表現」です。「Vyondで制作してるのにVyondっぽくない動画」を制作できると、他のアニメーション動画制作者とは一線を画すことができますので、ぜひチャレンジしてみてください。
「自分が動画を作るのがラクだから」という理由で「Vyondで使える表現しか使ってない人」はクライアントより自分の都合を優先してる時点で選ばれない動画クリエイターです。
高単価Vyond動画クリエイターになりたいのであれば「自分の面倒くさい気持ち」ではなく「クライアントの感動」を優先できる人になりましょう。
画像をアニメーション化する方法
こちらの動画では1枚の画像を素材ごとに細分化し、アニメーション設定をしています。
アニメーション動画の中にこのような表現を入れることで、Vyond感のない高品質な動画を作ることができます。
アニメーション制作手順は、以下の通りです。
①元画像を用意する
②元画像をIllustratorで画像を細分化し、Photoshopで背景を透過させる。
(下記画像は解説用に各素材を1枚の画像に収めていますが、実際はそれぞれ1枚ずつの別画像です)
③Vyond内で01の画像を背景に、02〜04の画像にアニメーション設定を行う。
1枚の画像を細分化して、編集して、さらにアニメーション設定をし、再構築する作業は、正直言ってひじょーに面倒臭いです。
ですが「これを乗り越えれば、絶対動画が良くなる・・・はず。」と心の中でぶつぶつ呟きながら作業しています(笑)
実際にクライアントさんの反応が良かったときは「やったー!」と叫びたくなるぐらい嬉しかったです♪
クオリティの高い動画を作る為には「できることは全てやる精神」で、常に全力を出し切りましょう。
コラム:アニメーション表現を増やすコツは?
「もっとアニメーション表現の引き出しを増やしたい!」と思った人がやるべきことは「アニメーション表現を増やす」という目的意識を持ちながら「日常生活を観察すること」です。
そもそも、私たちの生活の中でアニメーション動画はとても身近な存在です。
テレビやYouTubeのCM、電車内のモニター、サイネージなどはもちろん、最近では、病院の待合室、郵便局の窓口に置いてあるモニターなどでもアニメーションを使った動画が多く使用されています。
ようするに「アニメーション表現を増やすヒント」は「日常生活の中にたくさん潜んでいる」ということです。
私は外出中に気になるアニメーション動画を見かけたら、写真にとって家に帰ってから検索をしたりしています。
YouTube広告で良い感じの動画が出てきたら、そのURLをコピーして残したりもしていますよ。
日常生活でアニメーション動画を見た時に「アニメーション表現を増やす」という目的意識を持って見ると、以下のような気づきがあります。
- 「あ、こういう表現があるのか」
- 「この動きは使えそう!」
- 「今の動画の配色よかったな」
- 「この動画、もっとこういう動きにすれば良くなるのに・・」
など、1つ1つの動画を「アニメーション動画制作者」の目線で「観察」することで「アニメーション表現の幅」が広がっていきます。
「意識している」と「意識していない」では収集できる情報量が全く違ってきます。常に「もっとアニメーション表現の幅を広げるには?」というアンテナを張りながら、日々の生活を送りましょう。
ステップ8:BGMと効果音
アニメーション動画の完成度を高めるためには、BGMの選定も大切になってきます。ここでは企業案件動画のBGMを選ぶ際の基準を解説します。
Vyondに最初から入ってるBGMを使いまわしているだけの人は、ぜひ参考にしてください。
BGM
まず、大前提として「聞くのが面倒くさいから聞かない」から脱却しましょう。BGM選定ができてない人は、そもそも聞いてる量が少ないです。「BGMをイチから作れ!」と言ってるわけではなく、シンプルに聞くだけです。聞くだけであれば、再生ボタンをポチッとするだけで聞けます。少なくともVyondにあるBGMは全て聞くようにしてください。
仕事としてアニメーション制作をするのであれば、たくさんのBGMを聞いて経験値を増やし、BGM選定までできるようにしましょう。
その上で、実際にBGMを選ぶ上で何を意識すれば良いのか?ポイントは以下の通りです。
<BGM選定のポイント>
- 要件定義を理解し、台本を読み、動画の流れを理解した上でBGMを選定する
- VyondにあるBGMでは対応できない時が多いので、外部サイトのBGM素材も考慮する
- 検索する際は「企業VP」「ビジネス」「コーポレート」といったカテゴリーのBGMから探す
- BGMのテンポは「速い」「とても速い」といったテンポで検索する
- 再生する前に波形をチェックし、盛り上がりポイントをチェックする
例えば、私が制作する台本は、最初の15〜20秒までは「お悩み共感パート」で、そこから「お悩み解決できる商品・サービス紹介パート」になることが多いので、BGMも「15〜20秒くらいからサビに入るBGM」を選んでいます。
例えば、こちらのリデル様の動画を「BGM」に注目して聞いて頂くと「15〜16秒あたり」で「メインメロディー」に移行してることがわかると思います。
理想は各動画に合うBGMを自作することですが、まだそこまでは手が回っていないので、このようにBGM選定をしています。
作曲スキルがある人は、企業向け動画のBGMを作って、音源素材サイトで販売することで、収益の柱を作ることができますよ。
効果音
初めに申し上げておくと、リデル様の動画では「効果音」を入れておらず、「効果音なし」でも「質の高いアニメーション動画」を作ることができます。
「効果音は質の高いアニメーション動画制作に必ずしも必要ではない」ということです。
ただ「適切な効果音」を「適切なタイミング」で入れることで、動画の完成度をより高めることができます。
例えば、以下のベルズシステム株式会社の動画では「動画の冒頭」や「資料請求の行動喚起」のタイミングなどで、効果音を入れています。
YouTubeのバラエテイ系の動画に比べて、企業案件の動画の場合は、効果音を入れると軽くなりすぎたり、騒がしすぎたりする場合があるので、効果音を入れるとしても適度な分量に抑える(最低限の部分だけ入れる)のがオススメです。
まずは「効果音がなくても質の良い動画」を作れるようにしましょう。
ステップ8.5:初稿の完成
企業案件動画を制作する実務上では、この段階で「初稿の完成」となります。リデル様の案件を具体例に出すと、以下のような状態になります。
初稿の段階では「アニメーションやナレーションのタイミング」を細かく調整する必要はありません。
それらの調整は「使用する音声データ」が確定してからやるようにしましょう。
機械音声で納品する場合は、ステップ9を飛ばし、アニメーション調整になります。ナレーションをプロナレーターに依頼する場合は、ステップ9のナレーション収録へと移行します。
上記の動画は12時間くらいで制作しました。
リデル様の案件ではクレメアさんより「最速で制作してほしいけどできますか?」と事前に相談があったので、あらかじめスケジュールを調整することができ「最速」で初稿を制作することができました。
子育てをしながら作業している私の状況を理解した上で仕事を依頼してくださるので助かっています!
実際に企業案件を進める際は、この状態で確認をいただき、修正が入ったりします。
ステップ9:ナレーション収録
初稿が完成した段階でナレーション収録を依頼することで、ナレーターの方に完成イメージを共有することができるので、スムーズにナレーション収録が進みます。
アニメーション制作と関係ない話なので、飛ばします。
ステップ10:アニメーション(テンポ)調整
ナレーション音声データをいただいたら、アニメーションとナレーションの音合わせをします。動画全体のテンポ感を意識しつつ、タイミングを調整していきましょう。
テンポ感の調整だけで、動画の完成度は大きく変わるので気を抜かないようにしましょう。
実際の企業案件動画では、私がアニメーション調整をすることが多いのですが、その場合は以下のことに注意しています。
<アニメーション調整のポイント>
- 機械音声からナレーター音声に切り替える場合は、ナレーターの音声のタイミングとズレてるところがないかをチェックする
- 視聴者は基本的に1回しか動画を見ないので、その1回で理解できる適切な速度、情報量に留める。動きのあるオブジェクトが多い場合は、減らすことも考慮する
- ナレーションに合わせて文字を表示する場合は、0.25秒程度早めに表示するか、最初から表示したままにするなど、ストレスなく見れる速度にする
- 静止画状態が2秒以上続くと、画面上に動きがなく飽きられるので、できるだけ静止画状態を作らない
- エフェクトの動きが早すぎると、視聴者が認識できないシーンが生まれてしまう可能性があるので、展開が早すぎる点がないかを確認する
- 複数箇所を同時に動かしすぎると、画面内が騒がしい印象になる場合があるので注意する
- 効果音とナレーション音声がかぶっていて、おかしなことになってる点がないか、聞きづらい点がないかをチェックする
「目から入る情報」と「耳から入る情報」のタイミングをしっかりと整えることで、見ていて違和感のない、洗練されたアニメーション動画を作ることができます。
私がアニメーション調整をするのにかかる時間は、だいたい1時間程度です。
アニメーション調整が終わったら、完成となるので、誤字脱字やおかしな点がないかは、何度もチェックするようにしましょう。
間(ま)の活用
アニメーションのタイミングに徹底的にこだわるのであれば「文章の意味を踏まえたタイミング調整」をしていきましょう。具体的には「意味ごとのまとまり」を考えて「間(ま)を意識したカット」をすると、テンポ感が良くなります。
リデル様の具体例で言うと、例えば以下の棒線部がそうです。この部分の間(ま)を通常の間(ま)より0.1〜0.5秒程度長くすることで、視聴者に展開が変わることを示唆することができます。
逆に、その下の「〜3つの理由。」と「登録インフルエンサーは〜」の間は、そこまで間(ま)を取らなくて良いでしょう。
このような配慮ができると、より理解しやすいアニメーション動画を作ることができますので、是非意識してみてください。
まさに「神は細部に宿る」です。
完成
以上で動画の完成になります。
おつかれさまでした。
高単価アニメーション動画クリエイターの仕事
いかがでしたでしょうか?
ここまで解説してきた内容が「アニメーション制作」の仕事で「1分1万円以上の単価」の報酬を稼いでいる人が「実際にやっている仕事内容」になります。
実際に使用しているツールやサイトに関しては準備編で紹介していますので、合わせてそちらもご覧ください。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2021/01/23 AM4:50
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